−わか(waka)−
若い燕(わかいつばめ) 年上の女の愛人となっている若い男。 参考:奥村博吏という青年画家が、婦人運動家平塚雷鳥に宛てた書簡の中で、自分を表現した言葉。大正3年(1914)に同棲を始めたとき、雷鳥28歳、奥村23歳であった。2人はその4年後に結婚した。
若い時の苦労は買ってでもしろ(わかいときのくろうはかってでもしろ)・買(こ)うてもせよ 若いときに経験する苦労は、将来必ず役に立つから、積極的に求めなさいということ。楽に立ち回っていては将来性がないということ。 類:●他人の飯を食わねば親の恩は知れぬ
若い身空(わかいみそら) 「身空」は「身の上」と同義。特に、同情すべき境遇のこと。十分に生活できる年齢に達していない身の上なのに。 例:「若い身空で大きな借金を背負わされた」
我が意を得る(わがいをえる) 1.ものごとが自分の意図した通りになる。 類:●占め子の兎●笑壷に入る 2.自分の考えと一致する。
我が面白の人泣かせ(わがおもしろのひとなかせ) 自分では面白く夢中になって楽しんでいるが、他人にとっては迷惑この上ない様子。 類:●我が面白の人困らせ●我が好きを人に振舞う
若気の誤まり(わかげのあやまり)[=過(あやま)ち] 年若いために血気(けっき)に逸(はや)って分別のないことをしでかすこと。また、その失敗。
若気の至り(わかげのいたり) 若さに任(まか)せて無分別な行ないをしてしまうこと。 ★「若気」は、年若い頃の逸(はや)った気持ち、また、無分別。年少の血気。
我が心石に匪ず、転ず可からず(わがこころいしにあらず、てんずべからず) 私の心は石ころではないのだから、ころころと転がして弄(もてあそ)ぶな。確固とした信念を持ち、心が絶対不動であることの喩え。 出典:「詩経−[北+オオザト]風・柏舟」「我心匪石、不可轉也、我心匪席、不可卷也、威儀棣棣、不可選也」 ★「木石に非ず」とは、まったく別物。
我が事終わる(わがことおわる) 自分に関係したことは全部済む。自分のすべきことのすべてがおわる。最早(もはや)なすべき事がなくなったの意。
我が事と下り坂に走らぬ者なし(わがこととくだりざかにはしらぬものなし) 下り坂になると自然と走り下るように、人は自分に大事が起きると駆け出すものである。自分に関わることには、他を放り出してしまうほどに、一所懸命になるものである。
若衆狂い(わかしゅうぐるい) 若者が色に溺(おぼ)れること。男色に溺れること。また、その人。
我が田へ水を引く(わがたへみずをひく) 自分の都合を計って自分の田へ水を引き入れるように、自分の都合が良いように説明したり処置したりすること。 類:●我田引水
我輩の辞書に不可能の文字は無い(わがはいのじしょにふかのうのもじはない) 1.自分の口からできませんとは言わない。つまり、自分にできないことはないということ。 2.転じて、不可能という応答を聞くつもりはないので、はいとだけ答えろということ。命令に従わなければ罰すると、脅(おど)して言う。 ★フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの言葉。実際に彼が発した言葉は「フランス語の中に不可能だと言う泣き言はないから、辞書から不可能という単語を削除せよ」であったらしい。
若生え(わかばえ) 1.新たに生え出た芽。若芽(わかめ)。若立ち。 類:●蘖(ひこばえ) 2.比喩的に、幼(おさな)い子。幼児。また特に、跡継ぎになる幼児のこと。
我が仏尊し(わがほとけとうとし) 自分の寺の仏が他の寺のどの仏より尊く思われる。自分が良いと思うことや、自分が持っているものが、どんなものよりも優れていると思い込むこと。 類:●我が寺の仏尊し●身贔屓
我が儘雨(わがままあめ) 余所(よそ)は晴れているのに、ある地域だけに降る雨。 類:●わたくし雨
吾が道窮まれり(わがみちきわまれり) 私が追い求めてきた道はここで終わりだ、もう到達することはできない。己の死の徴(しるし)を目にして孔子が言ったとされる言葉。 出典:「春秋公羊伝−傅」「西狩獲麟、孔子曰、吾道窮矣」 参考:獲麟
我が身を立てんとせば先ず人を立てよ(わがみをたてんとせばまずひとをたてよ) 自分の望みを叶(かな)えたいと思うなら、先ず人に譲(ゆず)るようにしなさいという教え。 類:●我が子可愛くば人の子を可愛がれ  出典:「論語−雍也」「夫仁者己欲立而立人、己欲達而達人」
我が身を抓って人の痛さを知れ(わがみをつねってひとのいたさをしれ・つめって) 自分の苦痛に引き比べて、人の苦痛を思い遣れ。自分の身のこととして、他の人のことを考えよ。また、相手と苦痛を共にして、初めて他人の苦痛を思い遣ることができる。
我が物顔(わがものがお) 自分の物だというような顔付きや態度。 威張(いば)っている様子。遠慮なく勝手に振る舞うこと。 例:「我が物顔で歩き回る」
我が物と思えば軽し笠の雪(わがものとおもえばかるしかさのゆき) 自分の利益になることならば、苦労を苦労と思わない。  参考:榎本其角の句「わが雪と思へば軽し笠の上」からの発展。
若者は老人が馬鹿だと推測するしかないが、老人は若者が馬鹿であることを経験で知っている(わかものはろうじんがばかだとすいそくするしかないが、ろうじんはわかものがばかであることをけいけんでしっている) 若者は未熟であるということ。 ★英語の諺Young men think old men fools, and old men know young men to be so.から。
我が世の春(わがよのはる) 時流に乗って、なんでも思いのままにできるような、最も得意な時期。絶頂の時期。 例:「我が世の春を謳歌する」
分からず屋(わからずや) ものごとの道理を弁(わきま)えない者。道理や事情をいくら説明しても理解しようとしない者。頑固で柔軟性のない者。また、道理や事情を理解しないこと。 例:「分からず屋を言う」
別れの櫛(わかれのくし)[=御櫛(みぐし)] 別れの印としての櫛。 1.平安時代、斎宮(いつきのみや)となった皇女(もしくは女王)が、伊勢へ出発するために参内して別れを告げたとき、天皇が自(みずか)ら斎宮の髪に差して与えた黄楊(つげ)の櫛。 2.人との別れや不吉なことの前兆としての櫛。投げ捨てられたり人に与えられたりした櫛。 ★嫁入りに際しては、二度と実家へ戻らないようにと与えられた<国語大辞典(小)>
別れの袖(わかれのそで) 人と別れるとき、名残'なご)りを惜しんで涙を拭う袖。
別れ路(わかれじ) 1.人と別れてこれから辿(たど)ってゆく道。また、人との別れ。 類:●離別 2.この世と別れて冥途へ行く道。 類:●黄泉路(よみじ) 3.本道から分かれ出た道。また、道が分かれているところ。 類:●岐路●分岐点 4.行動・手段などで、どちらをとるか決める場面。いずれの方向に進むか決まる所。 類:●分かれ道●分かれ目
若々しい(わかわかしい) 1.子供っぽい。大人気ない。未熟である。 用例:宇津保−楼上上「物ぐるほしく、わかわかしき事なし給そ」 2.若い。また、いかにも若く見える。 用例:源氏−藤裏葉「さぶらふ人とても、わかわかしきのみこそ多かれ」 例:「若々しい服装」