−わき(waki)−
・和気藹々(わきあいあい) 和やかな気分が満ちている様子。 例:「和気靄々のうちに散会する」
・脇が甘い(わきがあまい) 1.相撲で、四つ身に組む際、相手に有利な組み手や、はず押しを許してしまう体勢。2.防御の姿勢がしっかりしていない。相手に付け込まれ易い。
・沸き返る(わきかえる) 1.湯が激しく煮え滾(たぎ)る。煮え繰り返る。沸騰する。 用例:太平記−三「熱湯の湧翻(ワキカヘ)りたる酌で懸たりける間」 2.勢い良く湧き出る。盛んに湧き上がる。また、水が逆巻く。滾る。 用例:蜻蛉−上「水は石がちなる中よりわきかへりゆく」 3.耐え切れないほどに心が激しく動揺する。感情が昂(たか)ぶって気持ちが乱れる。恋の思いや怒りの感情で心が乱れ騒ぐ。 用例:源氏−蜻蛉「せきとめたらましかばと、わきかへる心地し給へどかひなし」 4.大勢の人が熱狂して騒ぎ立てる。また、激しく混雑する。大騒ぎになる。 例:「スタンドが沸き返る」
・脇心(わきごころ) 余所へ移る心。浮気な心。 類:●浮気心 用例:浮・好色五人女−3。「こちや是がすきにて身に替ての脇心」
・脇付け(わきづけ) 手紙で、宛名の左下に書き添えて敬意を表わす文言。「参人人御中・人人御中・侍史・机下・玉案下・御中」など。返書には、「尊答・貴酬」などと書く。また、その手紙が特別なものであることを表わすために「急用」などと書き添えることもある。 類:●脇書き
・弁える(わきまえる) 1.見分ける。ものごとの違いを識別する。良く理解する。心得る。また、善悪を良く判断して振る舞う。よく理解して処理する。 類:●弁別する 例:「身のほどを弁える」 用例:大慈恩寺三蔵法師伝院政期点−八「邪正雑り擾(みた)れて、水乳分(ワキマヘ)不らむことを」 2.償(つぐな)う。弁償する。返済する。支払う。また、始末する。整える。 用例:今昔−二〇・三一「彼の母の借る所の稲を員の如く弁へて」 3.調達する。 用例:浄・冥途の飛脚−上 「十八軒の飛脚宿からわきまへ」
・脇目も振らず(わきめもふらず) そのものごと以外に目を向けないで、専心する。 類:●余所見もせずに●一心不乱
・脇役(わきやく) 1.歌舞伎・演劇・映画などで、主役を助けて物語の展開に副次的な役割を務める役。また、その役者。 類:●脇役者●バイプレーヤー 2.転じて、表立たないで補佐する役目。副次的な役割。また、その人。
・脇櫓(わきろ) 1.和船の舷側(ふなべり)に立てる櫓。艫櫓(ともろ)に対して呼ぶもの。脇舵(わいかじ)。2.手助け。助勢。援助。
・脇を掻く(わきをかく) 腋の下の辺りを摩(さす)る。得意になったり、気負ったりしたときなどの仕種。
・脇を塞ぐ(わきをふさぐ・ふたぐ)[=詰(つ)める] 八つ口を明けていたのを、塞(ふさ)いで詰袖にする。近世、成人の印としてされていたことから、成人すること。 類:●元服する●袖を塞ぐ ★男子は一七歳の春、女子は一九歳の秋、または、結婚した折に行った<国語大辞典(小)>