−わり(wari)−
・割が利く(わりがきく) 用いた量の割には効果が大きい。 例:「割が利くマスタード」
・割り勘(わりかん) 「割前勘定(わりまえかんじょう)」の略。勘定の総額を等分に割ってそれぞれが支払うこと。また、何人かで飲食した場合、各人が自分の注文に応じて支払うこと。
・割り切る(わりきる) 1.割り算で、端数を出さずに割る。2.他人がどう思おうが気にせず、一つの原則に従って、ものごとの結論をきっぱりと出す。雑多な状況や己の心情などを排除して、単純明快に結論する。 例:「これも仕事と割り切る」 3.些事(さじ)に拘(こだわ)らずにやる。 例:「割り切って考えなさい」
・割り切れる(わりきれる) 1.割り算で、端数を出さずに割ることができる。2.一定の原則に当て嵌(は)まり、すっきりと納得できる。普通、後に打ち消しを伴って、納得できないという意味で用いる。 例:「気持ちが割り切れない」
・理無い(わりない)[=割り無い] 理(ことわり)が無いこと。 1.道理に外れている。分別がない。理性でどうにもならない。 用例:古今−六八五「心をぞわりなき物と思ぬる」 2.無理である。強引である。無理矢理である。 用例:宇津保−祭の使「折しもこそあれ、わりなき召しかな」 3.どうしようもなく辛(つら)い。堪え難く苦しい。こらえきれないほどである。どうにもやるせない。 類:●遣り切れない 用例:源氏−空蝉「をととひより腹をやみて、いとわりなければ」 4.やりようがない。どうしようもない。仕方がない。 類:●止むを得ない●余儀ない●是非もない 用例:源氏−総角「わりなき、事のしげさを打ち捨ててまで給ふ」 5.どうして言いか分からない。困ったことである。 類:●途方に暮れる 用例:後撰−六三〇「男侍る女を、いとせちにいはせ侍りけるを、女いとわりなしといはせければ」 6.やっとのことである。 類:●辛うじて 用例:今昔−二九・三七「然(さ)て許こそ命は助からめと思得て、破无くして此(か)く隠れて命を存する事は有難し」 7.程度が分別を越えている。どうしようもないほどである。甚だしい。一通りでない。 用例:伊勢−六五「猶わりなく恋しうのみおぼえければ」 8.言いようがないほど美しい。非常に感動的である。 用例:山家集−下「岩に堰(せ)く閼伽(あか)井の水のわりなきは心澄めとも宿る月哉」 9.非常に優れている。素晴らしい。殊勝(しゅしょう)である。 用例:平家−一〇「みめかたち心ざま、いうにわりなきもので候とて」 10.一通りでなく親しい。分別を越えて親密である。理屈では割り切れないほどの親密な関係。切っても切れない。 類:●逃(のが)れられぬ 用例:伽・福富草紙「鬼うば憎けれど、さすがわりなき中なれば」 例:「理無い仲」 11.いじらしい。とても可愛い。 用例:名語記−四「いたいけしたる物をわりなしといへるわり如何」
・割に合う(わりにあう) 苦労しただけの効果がある。損得をひき比べると多少の得がある。 類:●引き合う
・割り符が合う(わりふがあう)[=に合う] 別々に所有している割符が、ぴったりと合うということで、食い違いがなく符合すること。 類:●符節が合う
・割前勘定(わりまえかんじょう) 割前で勘定すること。各人が等分に負担金を出し合って支払いをすること。 類:●割勘 参考:割前(わりまえ) 分割してそれぞれに当てる負担分。
・割りを言う(わりをいう)・理を言う 道理を言う。理屈を捏(こ)ねる。また、弁解する。言い訳をする。
・割を入れる(わりをいれる) 1.仲裁者を入れる。調停者を入れる。2.衣服や帯などの布と布との間に別の布を裁ち入れ、幅広く仕立てる。3.手直しする。
・割を食う(わりをくう) 割りの合わない目に遭う。損な結果を得る。損をする。不利になる。 用例:滑・膝栗毛−七「それぞれ、三文でも割をくつちやアごふはらだ」 例:「正直者は割を食う」
・割を付ける(わりをつける) 1.始末する。処置する。調停する。仲裁する。 類:●割を入れる 2.割増しして支払う。また、割り前として与える。