−わる(waru)−
・悪足掻き(わるあがき) 1.しても無駄なのに、あれこれと焦(あせ)って試(こころ)みること。 例:「今更悪足掻きをしても駄目だ」 ★「足掻く」の元の意味は、「馬、牛などが足で地面を蹴立てる。また、そのようにして歩いたり走ったりする」<国語大辞典(小)> 2.度を過ぎた悪戯(いたずら)。 類:●悪ふざけ
・悪い虫(わるいむし) 1.癇癪(かんしゃく)の虫。癇癪。また、癇癪持ち。 用例:浄・冥途の飛脚−中「悪い虫押へかねてずんと出で」 2.良くない癖。3.娘にとって好ましくない交際相手。質(たち)の良くない情人、特に、情夫。 例:「娘に悪い虫が付かないように気を付ける」
・悪い奴ほど良く眠る(わるいやつほどよくねむる) 1.極悪人は、自分が犯したことに罪悪感など持たないから、良く眠り、長生きするものである。 ★黒澤明監督の映画『悪い奴ほどよく眠る』(1960年公開)から。 2.悪人の黒幕は、実際の犯罪には手下を使い、自分は手を汚さないから、神経も磨り減らすことなく、ぐっすり眠れるものである。
・悪くすると(わるくすると)[=したらば] 巧く行かない場合には。下手にまごつくと。拙(まず)くすると。 用例:中華若木詩抄−上「わるくしたらば、御身の一大事出来せんと云ぞ」
・悪乗り(わるのり) その時の雰囲気などに便乗してものごとを行なうこと。また、相手に合わせて過剰に調子付くこと。
・悪怯れる(わるびれる) 1.未練がましく振る舞う。2.気後れがして、恥ずかしがったり、おどおどした態度を取る。 類:●わろびれる 用例:屋代本平家−二「西光はちとも色も変ぜず、わるびれたる景気もなし」 例:「一向に悪びれた様子がない」 ★「びれる」は接尾語「びる」の変化か<国語大辞典(小)> 参考:屋代本平家物語(やしろぼんへいけものがたり) 非正本の古本。「語り本」系。語り本の中でも古態と見られる本。不忍文庫の蔵書印があり、文庫の持ち主であった屋代弘賢という江戸時代の人に因(ちな)んで名付けらた。同じ語り本系でも覚一本とは異なる句立てで、異なる流派が使用、もしくは必要に応じて使い分けられていたと考えられる。全十二巻(欠巻あり)。他に応安4年(1371)年成立の「覚一(かくいち)本」「百二十句本」「流布本」などがある。