−やみ(yami)−
・闇から牛を引き出す(やみからうしをひきだす) 咄嗟には判断が付かないこと。また、性質がはきはきせず、動作の遅鈍な人。 類:●暗がりから牛
・闇から闇(やみからやみ)[=より闇] 1.暗黒世界から暗黒世界に移っていくこと。瞬時も光明に出合わないこと。2.胎児を、出まれないうちに死なせること。 類:●堕胎する 3.後に証拠が残らないように、こっそり事件を始末すること。 例:「真相を闇から闇に葬る」
・闇雲(やみくも) 1.黒い雲。 用例:黄・高漫斉行脚日記−上「にわかに空かきくもり、やみくも立かさなりけるままに」 2.闇の中で雲を掴むように、漠然としていて宛てがないこと。また、前後の見境がないこと。無理矢理行なうこと。 類:●無闇矢鱈 用例:雑俳・川柳評万句合−宝暦一二「やみくもにすてっぺんから足を取り」 用例の出典:高漫斉行脚日記(こうまんさいあんぎゃにっき) 黄表紙本。恋川春町作・画。安永5年(1776)。3巻。謡曲『善界』『鉢木』の趣向を元にした作品。天狗が高漫斉とその弟子たちを魔道に引き入れようとするというもの。当時の俳諧、茶の湯などの浮薄な流行や営利に走る宗匠の実体を風刺的に描いた。 参考:善界(ぜかい) 能楽。五番目物。天狗物。各流。竹田法印宗盛。唐の天狗の首領善界坊が、日本の仏法を妨げるために比叡山に来るが、不動明王を念じる僧によって追い払われる。
・病み付き(やみつき) 1.病気に罹(かか)ること。また、病気の罹り始め。2.悪習や道楽に染まること。ものごとに熱中してやめられなくなること。また、その始め。 例:「一度食べたら病み付きになった」
・闇に烏(やみにからす) 良く似ていて、判別がし難(にく)い。 類:●闇夜に烏
・闇に暮れる(やみにくれる)[=暮る] 1.日が暮れて闇夜になる。2.悲しみや嘆きのため、心の分別を失う。
・闇に咲く花(やみにさくはな) 売春婦。闇の女。 類:●夜の女
・闇に惑う(やみにまどう)[=迷う] 暗闇のせいで道に迷うこと。また、比喩的に用いて、思慮分別を失って、途方に暮れること。
・闇の現(やみのうつつ) 暗闇の中での現実という意味で、心が乱れ迷っているときの、僅かな間の正気。
・闇の女(やみのおんな) 夜、街頭に立って客を引く女。売春婦。 類:●夜の女
・闇の錦(やみのにしき) 1.⇒闇夜の錦 2.他に目も呉れないこと。他の事には少しも心を掛けないこと。
・闇の夜(やみのよ) 1.闇夜。2.「闇夜の錦」の略。3.「闇の夜の瓢箪」の略。4.歌舞伎下座音楽の一つ。江戸吉原の傾城の出入りに用いる下座唄。長唄「揚巻」冒頭の一節で、渡り拍子・当り鉦・大太鼓の通り神楽を入れる。 参考:揚巻(あげまき) 長唄「助六姿裏梅(すけろくすがたのうらうめ)」の通称。 参照:助六姿裏梅(すけろくすがたのうらうめ) 歌舞伎所作事。長唄。三世桜田治助作詞。十世杵屋六左衛門作曲。安政4年(1857)初演。通称「揚巻」。「闇の夜に吉原ばかり月夜かな、月じゃ月じゃ」
・闇の夜に灯火を失う(やみのよにともしびをうしなう) 頼りとしていたものや人を失って、途方に暮れること。
・闇の夜の瓢箪(やみのよのひょうたん) 闇夜では後先も分からないことから、上と下が同じ大きさで上下の区別が付かない瓢箪のこと。 ★根付(ねつけ)などに珍重して用いられた<国語大辞典(小)>
・闇夜に烏(やみよのからす) 見分けが付かないこと。
・闇夜に目あり(やみよにめあり) 人知れず悪事をしても、必ず露顕(ろけん)するということ。 類:●壁に耳●壁に耳あり障子に目あり●天に眼(まなこ)
・闇夜の鉄砲(やみよのてっぽう)
・闇夜の灯火(やみよのともしび)[=に灯火][=提灯(ちょうちん)] 酷(ひど)く困まっているときに、頼りになるものに巡り会うこと。また、切望していたものに巡り会うこと。 類:●闇夜の燈●闇の夜道の松明(たいまつ)
・闇夜の錦(やみよのにしき)[=に錦] 闇夜に華やかな錦の着物を着ても仕様がないということから、無駄なこと、やっても意味のないこと。 類:●夜の錦●闇の夜の錦