−よに(yoni)−
・世に在り(よにあり) 1.世の中に生き長らえる。この世に生存する。2.世の人に認められる。世に時めいている。 用例:枕草子−184「それぞ世に在る人の手はみな見知りて侍らむ」
・世に出ず(よにいず)[=出る] 1.この世に現れ出る。また、仏がこの世の衆生を救うために世に現れる。 例:「秘蔵品が世に出る」 2.世間に出る。官職に就く。3.世に知られる。出世する。 例:「若くして世に出る」 4.勘気(かんき=勘当)が許され、再び主君に仕える。
・世に越ゆ(よにこゆ) 普通より優れている。 用例:保元−上・古活字本 「矢束をひくこと世に越えたり」
・世に知らず(よにしらず) 普通ではない。世に類がない。 類:●世になし
・世に連れる 世の流れや動きに従う。 例:「歌は連れ、世は歌に連れ」
・世にとまる(よにつれる) 生き長らえる。
・世に無し(よになし) 1.世の中にない。この世に生存しない。また、世に存在しない。2.この世にまたとない。世の中に比べるものがない。類例がない。非常に優れている。3.世に用いられない。時勢に合わない。世に容(い)れられず、零落(れいらく)している。
・世に無し者(よになしもの) 世に容(い)れられない者。世間から冷遇されている者。また、世間を憚(はばか)る者。 類:●世捨て人
・世に似ず(よににず) 世の中に類がない。世にまたとない。この上もない。 用例:竹取「かたちの世に似ずめでたきことを」
・世に経(よにふ) 1.この世に生き長らえる。この世を暮らし過ごす。 用例:古今−春下「わが身世にふるながめせしまに」 2.俗世にあって暮らす。出家の身ではなく俗人として世を送る。3.世心が付く。男女の情を解する。 用例:後撰−恋五「ねになけば人笑へなり呉竹の世にへぬをだにかちぬと思はむ」
・世に旧る(よにふる) 1.世に出て古くなる。世間で珍しくなくなる。 用例:後撰−春中「春雨の世にふりにたる心にもなほ新しく花をこそ思へ」 2.結婚の経験がある。 用例:源氏−蜻蛉「ただ人、はた、怪しき女、世にふりにたるなどを、持ち居るたぐひ多かり」