−よわ(yowa)−
・歯する(よわいする) 「歯(し)する」の音読み。仲間として交わる。並ぶ。同列に並び立つ。 用例:阿部一族「家中一同は彼等を…卑怯者として共に歯せぬであらう」 用例の出典:阿部一族(あべいちぞく) 短編小説。森鴎外。大正2年(1913)発表。細川家に伝わる「忠興以来御三代殉死の面々」により、武士社会の掟と意地の悲劇を描く。
・齢を重ねる(よわいをかさねる) 年を取る。年を経て老年になる。
・弱き者よ汝の名は女なり(よわきものよなんじのなはおんななり) 英Frailty,thy name is woman.の訳。シェークスピア作の「ハムレット」で、ハムレットの母が、夫の死後、間もなく夫の弟と結婚したことを嘆いてハムレットが言った台詞。女とはなんと心の弱い者であり、なんと心の変わり易い者であるか。また、女性は男性に対して結局は弱い立場に置かれるということ。 出典:ハムレット 戯曲。5幕。シェークスピア。1601年ごろ成立、1602年ごろ初演。デンマーク王子ハムレットが、父王を毒殺して王位についた叔父クローディアスや不貞の母ガートルードへの復讐と、オフィリアとの悲恋の間に苦悩する運命を描く。作者の四大悲劇の一つ。
・弱蔵(よわぞう) 精力の弱い者。特に、性的に虚弱な男を人名のように表した呼び名。
・世渡りは草の種(よわたりはくさのたね) 世を渡っていく手段は、草の種のように至るところに散らばっているから、どこに行ってもなんとかなるものだということ。やる気があれば、食っていくための職はあるということ。 用例:浮・好色万金丹−五「世渡りは草の種とかや」 類:●生業は草の種
・弱音を吐く(よわねをはく) 弱々しい調子で、気力のない言葉を漏らしたり、意気地(いくじ)のないことを言ったりする。 類:●音(ね)を上げる●悲鳴を上げる
・夜半の嵐(よわのあらし) 1.夜吹く嵐。 2.一夜のうちに桜を散らしてしまう嵐のことで、思い掛けずに起こる出来事のこと。 3.気付かないほんのしばらくの間に変化が起こるということで、明日はどうなるか分からないということ。人生は無常であるということ。 類:●無常の嵐●無常の風 参照:「親鸞上人絵詞伝」の上人の詠に「明日ありと思ふ心の仇桜夜半に嵐の吹かぬものかは」とあるところから。 出典:親鸞上人絵詞伝(しんらんしょうにんえことばでん) 2巻。覚如上人。永仁3年(1295)。別名:親鸞聖人伝絵(でんね)・善信聖人絵・御伝鈔。宗祖親鸞聖人の曾孫にあたる第3代宗主覚如上人が、聖人の遺徳を讃仰するために、その生涯の行蹟を数段にまとめて記述された詞書と、各段の詞書に相応する図絵からなる絵巻物として成立させたもの。写伝される過程でその図絵と詞書とが別々にわかれて流布するようになった。そしてこの図絵の方を「御絵伝」、詞書のみを抄出したものを『御伝鈔』と呼ぶようになった。
・夜半の煙(よわのけぶり・けむり) 夜に立つ煙。多く、火葬の煙のこと。
・夜半の関守(よわのせきもり) 夜、関所を守る人。関所の夜番。夜、女の元に通う男を遮(さえぎ)るものの喩え。
・弱みに付け込む(よわみにつけこむ) 人の弱点に乗じて、巧く付け入ること。
・弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)