−ゆき(yuki)−
・行き合い兄弟(ゆきあいきょうだい) 異父同母の兄弟姉妹。また、親の結婚によって兄弟姉妹となった連れ子同士。
・行き合いの空(ゆきあいのそら) 1.ある季節が去り、次の季節に移り変わろうとする頃の空。2.牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)の二星が相会う空。七夕(たなばた)の夜の空のこと。
・行き合いの夫婦(ゆきあいのめおと・みょうと) 親の結婚によって兄妹・姉弟となった連れ子同士の夫婦。 用例:合巻・日高川清姫物語「先妻の子に鶴彦といふもの〈略〉後添ひの妻、なぎさと云ふ者の連れ子に、雛鳥といふ娘ありけり。行末はゆきあひの女夫(メウト)になさばやと」 用例の出典:日高川清姫物語(ひだかがわきよひめものがたり) 合巻本。安珍清姫の伝説に基づく浄瑠璃・歌舞伎をいう。道成寺物。・・・詳細調査中。 参考:道成寺物(どうせいじもの) 道成寺の安珍清姫伝説を素材とした、謡曲・戯曲・俗曲の総称。謡曲の「道成寺」、浄瑠璃の「道成寺現在蛇鱗」、歌舞伎の「京鹿子娘道成寺」、長唄の「紀州道成寺」など。
・行き当たりばったり(ゆきあたりばったり・いきあたり〜) 1.将来のことを深く考えもせずに、成り行きに任せてしまうこと。2.辻などで、偶然に出会うこと。
・行き掛けの駄賃(ゆきがけのだちん・いきがけの〜) 昔、馬子が問屋などへ荷を付けに行くついでに、余所の荷物を運び、手間賃を得たところから、事のついでに他の事をして利益を得ること。また、ある事のついでに他の事をすること。
・雪化粧(ゆきげしょう) 雪が降った後、辺り一面が真っ白になり化粧したようになること。
・行き摺りの宿世(ゆきずりのすくせ) 道を行くとき擦れ違うのも前世からの因縁であるということ。 類:●袖振り合うも多生の縁
・行き大名の帰り乞食(ゆきだいみょうのかえりこじき) 旅行などで、往路は大名のように豪勢に金を使うが、帰路には旅費が乏しくなって、乞食のように惨(みじ)めな思いをすること。
・行き倒れ(ゆきだおれ) 病気、寒さ、飢えなどで、道端に倒れること、または、倒れて死ぬこと。また、その人。
・裄丈合う(ゆきたけあう) 着物の裄と丈とが体に一致するという意味から、ものごとに過不足がなく、うまく整っている様子。 類:●裄丈揃う 参考:裄(ゆき) 背中の中心の縫い目から袖口までの長さ。 丈(たけ) 肩山から裾までの長さ。
・雪達磨式(ゆきだるましき) 雪達磨を作るとき、雪を転がして大きくしてゆくように、どんどん増えて膨(ふく)らんでいくこと。 例:「借金が雪達磨式にふえる」
・行き違い(ゆきちがい・いきちがい) 1.擦れ違うこと。行き交うこと。 類:●道交(みちか)い 2.訪(たず)ねて行ったのに会えないこと。入れ違いに出掛けていて会い損(そこ)なうこと。 類:●行き違え 例:「手紙が行き違いになった」 3.ものごとがちぐはぐになること。噛み合わないこと。手筈(てばず)が狂うこと。 類:●行き違え 4.どこかへ出掛ける時、それが忌(い)むべき方角に当たっている場合、前夜に別の方角へ行って泊まり、改めて目的の場所へ行くこと。平安頃の風習であった。 類:●方違(かたたが)え
・行きつ戻りつ(ゆきつもどりつ) 行ったり来たり、という意味で、心配事で思い迷ったり、決断できないで落ち着かないでいる様子。
・雪融け(ゆきどけ) 1.積もった雪が春になって解け、水になること。また、その時。春。2.国際間の対立緊張の緩和。また、対立する二者の緊張や反感が緩(ゆる)み、打ち解けてくること。 出典:ソ連の作家エレンブルグの小説の題名
・雪と墨(ゆきとすみ)
・行き届く(ゆきとどく) 1.ある所、または、ある程度に至り付く。 類:●到達する●及ぶ●行(い)き届く 用例:浮・元禄太平記−五「女郎の総数は、京・大坂を一つにからげても、中々ゆきとどく事ではない」 2.遍(あまね)く行き渡る。万事に抜け目なくする。隅々まで気が付く。用意周到である。 類:●行(い)き届く 例:「行き届いた心遣い」 用例:虎寛本狂言・素襖落「何から何までも行届いた、あの様な御方が」 用例の出典:素襖落(すおうおとし) 狂言。各流。主の伯父のもとに伊勢参宮の誘いに遣わされた太郎冠者は、振舞い酒に酔って戻る途中、伯父から貰った素襖(直垂に似た衣服)を落とし、様子を見に来た主人に拾われる。
・雪に白鷺(ゆきにしらさぎ)
・雪の明日は孫子の洗濯(ゆきのあしたはまごこのせんたく)[=裸虫(はだかむし)の洗濯] 雪の翌日は洗濯に適しているということ。雪の翌日は、晴天になって暖かい日が多いことから言われる言葉。
・雪の上に霜(ゆきのうえのしも) 雪が積もっている上に霜が降りても意味がないことから、無駄な努力のこと。 類:●徒労 用例:人情裏長屋−雪の上の霜「正義感の強いのもいいが、雪の上に霜を加えるような努力は徒労でしょう」 用例の出典:雪の上の霜(ゆきのうえのしも) 小説。山本周五郎。昭和27年(1952)。浪人の伊兵衛は街道で荷物運びをしていたが、人足から縄張りを荒らすと難癖を付けられているところをある道場主に惚れ込まれて助教を頼まれる。短編集「人情裏長屋」に納められる。『雨あがる』の続編。
・雪は五殻の精(ゆきはごこくのせい) = 雪は豊年の瑞
・雪恥ずかし(ゆきはずかし) 雪が恥ずかしく思うほどであるという意味から、極めて白い物のことを表現するのに使う。色白の美人を誉めるときなどに言う。
・雪は豊年の瑞(ゆきはほうねんのしるし)[=例(ためし)・貢(みつ)ぎ・貢ぎ物] 雪が多く降るのは豊年の前兆であるということ。 類:●大雪に飢渇なし
・雪仏の水遊び(ゆきぼとけのみずあそび)[=日向(ひなた)遊び] 雪は水に解(と)けて崩れていくところから、身に危険が迫るのを知らないで、我が身を破滅に導くこと。 類:●雪仏の湯好み●雪仏の湯嬲(なぶ)り●土仏の水遊び
・雪を欺く(ゆきをあざむく) 非常に白い様子。特に、女性の肌の白さなどを言う。
・雪を頂く(ゆきをいただく) 1.山頂に雪が積もる。2.白髪(しらが)が生える。 例:「頭(かしら)に雪を頂く」
・雪を回らす(ゆきをめぐらす) 風が雪を吹き回す。転じて、舞衣の袖を巧みに翻して舞う。舞姿が美しく艶(あで)やかなことの形容。 ★「回雪(かいせつ)」の訓読み<国語大辞典(小)>