−ゆめ(yume)−
・夢合う(ゆめあう) 夢に見たことがその後の事実と符合する。夢が現実となる。 類:●正夢
・夢か現か(ゆめかうつつか) 夢の中のことなのか現実に起こったことなのか、定かでない。意外な事態に驚き疑う気持ちを表わす。 例:「これは夢か現か幻か」
・夢が覚める(ゆめがさめる) 1.眠りから覚めて夢が消える。2.心の迷いが消える。正常な精神状態に戻る。 類:●正気付く●目覚める
・夢通う(ゆめかよう) 夢の中で往き来する。お互いに夢の中で行き来する。互いに夢に見合う。
・夢騒がし(ゆめさわがし) 夢見が悪くて胸(むな)騒ぎがする。不吉な夢を見て心が落ち着かない。 類:●夢見騒がし
・夢になれ(ゆめになれ) 目(ま)の当たりにしている災難が、現実でなく夢になれ、ということ。悪事や災難を払う呪(まじな)いの言葉。
・夢に牡丹餅(ゆめにぼたもち) 夢ではないか、と思うほどの幸運に巡り合うことの喩え。都合が良いことばかりで、夢のようである。「夢に牡丹餅食べたよう」とも言う。 類:●夢に餅食う
・夢にも(ゆめにも) あとに打消・禁止の語を伴って用いる。すこしも。つゆばかりも。いささかも。夢ほど。 用例:大和−御巫本附載「夢にも立ちしりぞかず」
・夢に夢見る(ゆめにゆめみる) 夢の中で、また夢を見る。はっきりしないこと、儚(はかな)いことの喩え。
・夢の跡(ゆめのあと) 1.夢からさめてなおその気分の残ること。夢の名残(なごり)。2.現実にあった事が少しの痕跡も残さないで消え去ったことのたとえ。 用例:奥の細道「夏草や兵(つわもの)どもが夢の後」 用例の出典:奥の細道(おくのほそみち) 俳諧紀行文。1冊。松尾芭蕉。元禄7年(1694)以前に成立し、死後の元禄15年(1702)刊。元禄2年(1689)3月27日、門弟曾良(そら)を伴って江戸深川を出発、奥州、北陸の名所旧跡を巡り、同年9月6日伊勢に向うため大垣に到着するまでの紀行を記したもの。
・夢の浮橋(ゆめのうきはし) 夢の中の危うい通い路。また単に、夢。転じて、儚いこと、また、世の中が儚くて渡り難(にく)いことを表わす言葉。 類:●夢の通い路 用例:新古今−三八「春の夜の夢のうきはしとだえして」
・夢の中(ゆめのうち) 眠っているうちに見る夢の中。転じて、極めて儚いこと、また、月日などが瞬(またた)くうちに過ぎていくこと。 類:●夢裏●夢中
・夢の通い路(ゆめのかよいじ) 夢の中の道。また、夢の中で行き来すること。夢に見ること。
・夢の徴(ゆめのしるし) 何かの前兆を夢で見ること。
・夢の手枕(ゆめのたまくら) 夢の中で恋しい人がしてくれる手枕。また、仮寝(うたたね)の間に見る夢。極めて儚いことの喩え。
・夢の告げ(ゆめのつげ) 夢の中に神仏が現れて、告げ知らせること。また、そのお告げ。
・夢の夢(ゆめのゆめ) 夢の中で見る夢。極めて儚いこと。 類:●夢のまた夢●夢に夢見る●夢の手枕
・夢の世(ゆめのよ) 夢のように儚い世の中。
・夢ばかり(ゆめばかり) 夢かと思われるほど。極めて少し。ほんの僅(わず)か。 用例:宇津保−菊の宴「などか今は、ゆめばかりの御返りもなき」
・夢は五臓の疲れ(ゆめはごぞうのつかれ)[=心(しん)の疲れ][=煩(わずら)い] 夢を見るのは、五臓(肝・心・脾・肺・腎)の疲れが原因であるということ。
・夢は逆夢(ゆめはさかゆめ)[=逆実(さかまこと)] 悪い夢を見たときに縁起直しにいう言葉。夢に見たことが現実に起きるとは限らないということ。また、夢とは往々にして逆夢で、実際には反対のことが起こるものだということ。
・夢枕に立つ(ゆめまくらにたつ) 夢の中で、神仏や死んだ人が夢に出てくる。また、枕元に現れて、何かを告げ知らせる。
・努々(ゆめゆめ) 1.努めて。精を出して。 用例:日本書紀−皇極四年六月(岩崎本平安中期訓)「努力努力(ユメユメ)、急須(あからさま)に斬る応し」 2.禁止の語句と共に用いる。決して〜するな。絶対〜するな。 用例:落窪−二「ゆめゆめけしき見え奉り給ふな」 ★副詞「ゆめ」を重ねて強めた語。「努努」「努力努力」などと書く。平安時代以降「夢」との混同が見られる<国語大辞典(小)>
・夢を合わす(ゆめをあわす) 夢を考え合わせて吉凶を占う。夢を判断する。
・夢を買う(ゆめをかう) 1.自分の身に幸運が巡り来るようにと、他人の見た吉夢を買い求める。2.富籤(とみくじ)や宝くじを買う。
・夢を託す(ゆめをたくす) 自分の希望を他人に委(ゆだ)ねて期待する。
・夢を違える(ゆめをちがえる) 悪い夢を見たとき、それを忌(い)んで、呪(まじな)いや呪文を唱える。
・夢を取る(ゆめをとる) 他人が見た幸運の夢を聞いて、自分に幸運を齎(もたら)すものとして譲り受ける。
・夢を見る(ゆめをみる) 1.睡眠中に、夢を見る。2.夢のように儚い、または思い掛けないことに遭う。3.空想を描いて夢中になる。空想に耽(ふけ)る。4.未来について空想する。
・夢を結ぶ(ゆめをむすぶ) 夢を見る。また、眠りに就く。