「車は急に止まれない」 では、どれくらいあれば良いのか
目の前に人が飛び出してきた。
ハッとして、ブレーキを踏む。
でも車は「急には止まれない」。
停車するまでに、どれくらいの距離が必要か…
危険を察知してからブレーキを踏むまで約1秒間。
それまではすでに車は走っている。
この空走時間と、ブレーきが効き始めてから止まるまでの距離(制動距離)を合わせたのが必要な距離。
どれくらいのスピードで走っているかによって違う。
時速 |
停車距離 |
20` |
9m |
40` |
22m |
60` |
44m |
100` |
120m |
むろん、これは通常の運転者が普通の道路を走っている場合の事。
反射神経の鈍い人はもっと距離がいるし、雨天だとこの1.5倍、雪面では3倍距離がないと安全ではない。
最近はほとんどのクルマがABS付ですので強く踏んだからといってクルマが安定して止まれないとか、ハンドルが利かないとかということはないので、停止距離を短くするには目一杯踏んだ方が良い。
そのためには常に運転姿勢はキッチリとし、力の入りにくい厚底靴などははかないように。
車のタイヤにはミゾがあるが、レースで使われるスリックタイヤというものにはミゾがない。
実は、ミゾのないタイヤは、ミゾのあるタイヤと比べると、制動距離が短くて済むという事だけど、この制動距離が短いほど、素早く止まる。
それならば、タイヤにはミゾがなくても良いではないかと、思ってしまうが、このミゾがないタイヤの制動距離が短くなるのは、あくまで路面が乾いているのが条件。
雨が降ったりして、路面が濡れると、今度は立場が逆転し、ミゾありの方が制動距離が短くなるというわけ。
タイヤのミゾには、路面とタイヤの間にある水をかき出すという役目がある。
ミゾがうまく水をかき出してくれないと、スピードを出したときに、ハイドロプレーニングという現象が起きてしい、タイヤが水を排除しきれなくなって、タイヤと路面の間に水の膜ができ、車のコントロールが利かない状態に陥ってしまう。
また、タイヤのミゾは、非常に複雑なミゾの切り方になっている。
この理由は騒音対策のため。
路面が濡れているときはミゾに沿って、水が排出されるが、路面が濡れていないときは、水の代わりに圧縮された空気がミゾから出ることになり、その時に騒音を発生させる。
これを防ぐのは不可能なので、等間隔にミゾがあると発生する音は増幅するので、なるべく不快な騒音が出ないように、ミゾは複雑な形になっているというわけ。
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