−あわ(awa)−
合わす顔がない(あわすかおがない)[=せる〜] 他人に対し、面目がない。申し訳ない。 類:●面目(めんぼく)ない
合わせ物は離れ物(あわせものははなれもの)[=離れる] 会った者同士、縁で結ばれた者同士は、やがて別れる時が来る。多く、男女・夫婦などの仲について使われる。 類:●会うは別れの始め
慌てる乞食は貰いが少ない(あわてるこじきはもらいがすくない) 人より多く貰おうとして欲張る乞食は、却(かえ)って施(ほどこ)しが少なくなる。同じように、慌てて騒いだり行動したりすると、却って損をすることが多いということ。 類:●急いては事を仕損じる●急がば回れ●残り物には福がある
阿波に吹く風は讃岐にも吹く(あわにふくかぜはさぬきにもふく)[=伊予に〜] 1.ある土地の風俗や流行が、他の土地にも移っていく様子。また、上の人の行ないは、下の人も見習うようになるということ。2.どこの土地に行っても人情は変わらないということ。 反:■所変われば品変わる■難波の葦は伊勢の浜荻
合わぬ蓋あれば合う蓋あり(あわぬふたあればあうふたあり) 容器には合う蓋と合わぬ蓋があるように、人間にも物にも相応(ふさわ)しい人や物が必ずあるということ。広い世間には、必ずその人に適した相手がいるものだということ。主に、男女の間柄について言う。 類:●破れ鍋に綴じ蓋
鮑の片思い(あわびのかたおもい)
あわよくば 間(ま)が良ければ。良い機会があったら。事が巧く運べば。 用例:浄・吉野都女楠−二「此具足着て働き、あはよくは義貞をしてやらふと思ふ気はないか」 ★「間(あわい)よい」に助詞「ば」の付いたもの<国語大辞典(小)> 用例の出典:吉野都女楠(よしのみやこおんなくすのき) 浄瑠璃。近松門左衛門。宝永7年(1710)。「太平記」に拠った作。新田義貞の情けと小山田高家の身代わり。妻の献身が却(かえ)って夫や義父の死を招いてしまう皮肉な成り行きを描く。第4段に楠木正成の子・正行が母とともに後醍醐天皇を迎えて、吉野に案内するくだりがある<近松門左衛門でございーい!> 人物:近松門左衛門(ちかまつもんざえもん) 江戸前期の浄瑠璃・歌舞伎作者。越前の生まれ。1653〜1724。本名杉森信盛。別号巣林子。初め古浄瑠璃の脚本を書き、その後竹本義太夫のために「出世景清」などの浄瑠璃を、40歳頃からは坂田藤十郎のために歌舞伎に筆を染め次々と名作を発表、再び浄瑠璃にもどって世話浄瑠璃を創始するに至った。作品に「曾根崎心中」「冥途の飛脚」「国性爺合戦」「心中天の網島」「女殺油地獄」など。
哀れみを乞う(あわれみをこう) 人の同情心を求める。 類:●情けに縋(すが)る
哀れみを蒙る(あわれみをこうむる・こうぶる) 人から慈悲を掛けられる。同情される。また、目を掛けられる。
哀れみを垂れる(あわれみをたれる)[=垂る] 慈悲を掛ける。情けを掛ける。 類:●哀れみを掛ける●不憫がる
哀れを交わす(あわれをかわす) お互いに深く思い合う。お互いに愛情を持つ。いじらしいと思い合う。
哀れを留む(あわれをとどむ) 1.情趣や同情心、または悲しみを心深く感じて、長い間忘れられない。2.悲しみや不幸などを一身に受ける。 用例:説経・しだの小太郎・五「爰にあわれをとどめしは、せんじゅの姫にて」 ★説経節、古浄瑠璃などで、愁嘆場に「ここにあわれをとどめしは」の形で、慣用される<国語大辞典(小)> 用例の出典:信田小太郎(しだのこたろう) 説教浄瑠璃。近松門左衛門。元禄14年(1701)15年説あり 。・・・詳細調査中。
あわわの三太郎(あわわのさんたろう) 馬鹿者や馬鹿な目に遭う人を人名のように表わしたもの。 参照:三太郎 ★「あわわ」をする幼児と同程度の知能の持ち主という意<国語大辞典(小)> 参考:あわわ 子供をあやしなどするとき、開いた口に手をあてて、軽く叩きながらアワワの声を出すこと<広辞苑第四版(岩)>
泡を噛む(あわをかむ)[=噛み出(い)だす] 口から唾(つば)の泡を出すことから、苦しんだり、悔しがったりする。
泡を食う(あわをくう) 酷(ひど)く慌てる。うろたえ慌てる。 類:●周章狼狽(しゅうしょうろうばい)●足下から鳥が立つ ★「泡」は、「慌(あわ)つ」の「あわ」から。「食う」は、「出くわす」の意。
泡を吹かす(あわをふかす) 人を苦しませる。度肝を抜く。驚き慌(あわ)てさせる。 類:●一泡吹かせる 用例:浄・平家女護島−五「平家にあはふかせ」 用例の出典:平家女護島(へいけにょごのしま) 浄瑠璃。時代物。5段。近松門左衛門。享保4年(1719)大坂竹本座初演。「平家物語」に題材をとり、文覚、俊寛、常盤御前、清盛などの話を脚色したもの。二段目の鬼界ケ島の段が能の「俊寛」より脱化、歌舞伎にもはいって名高い。
泡を吹く(あわをふく) 1.苦しんで、口から泡を吹き出す。2.喋(しゃべ)り立てて、口から泡を吹き出す。 類:●口角泡を飛ばす