−われ(ware)−
・我劣らじと(われおとれじと) 自分は他人に負けまいとして。先を争って。 類:●我勝ちに●我先に
・我思う、故に我在り(われおもう、ゆえにわれあり) デカルトが一切のものを懐疑した末に至った第一の真理。一般に知識と呼ばれているものを疑っても、疑い考える我が存在することは疑い得ず、意識する自我の明晰・判明な確実性が全ての認識の確実性の始点となるとした。
類:●コギト‐エルゴ‐スム 人物:デカルト ルネ・デカルト。フランスの哲学者、数学者。近代哲学の父。1596〜1650。方法的懐疑の立場にたち、一切を疑った後、このように疑っている自己の存在は明晰で判明な真理であるとし、「我思う、故に我あり」と表現した。更に精神と物体を独立の実体とする物心二元論を展開した。解析幾何学の創始者でもある。主著「方法叙説」「省察」「情念論」。
・我か人か(われかひとか) 自分なのか他人なのか判然としない状態。茫然として自分を失っている状態。恍惚(こうこつ)としている状態。 類:●我か●茫然自失 用例:古今−九六三「我か人かと身をたどる世に」
・我関せず焉(われかんせずえん) 自分は関係がない。そのものごとにはまったく関心がなく超然としている様子。 類:●我関せず●風馬牛 ★「焉」は漢文で断定の意を表すのに用いる助辞<国語大辞典(小)>
・我先(われさき)・我先に 自分が先になろうとすること。また、先を争う様子。 類:●我一●我勝ち
・吾唯知足(われただたるをしる) 今を満ち足りたものとし、現状に不満を持たないこと。 類:●知足
・我と思わん者(われとおもわんもの) 自分こそ優れていると思う者。自分こそが条件に当て嵌まると考える者。
・我と我が身(われとわがみ) 自分自身。自(みずか)ら。 例:「我と我が身を傷つける」
・我とはなしに(われとはなしに) 私と同じ身の上という訳ではないのに…。
・我乍ら(われながら) 自分のことであるが。自分のしたことであるが。わが身ながら。 用例:源氏−葵「あやしの心やと、われながらおぼさる」 例:「我乍らよく成し遂げたものだ」
・割れ鍋に綴じ蓋(われなべにとじぶた)・破れ鍋に〜 1.破れ鍋にも相応(ふさわ)しい蓋があるように、どんな人にも相応の配偶者がいるということ。また、相応しい相手が見付かるものだということ。 類:●合わぬ蓋あれば合う蓋あり●Like pot, like cover.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>●Every Jack has his Jill. ★婚期を逸(いっ)している人や、容姿の劣る人を慰(なぐ)めて言う。 ★「綴じ蓋」は、壊れたものを紐で応急処置をしたような不恰好な蓋のこと。 2.配偶者は身分相応の者が良いという喩え。また、なんにつけ似通った者同士が相応しいものだということ。 類:●似たもの夫婦
・破れ鍋も三年置けば用に立つ(われなべもさんねんおけばようにたつ) 壊(こわ)れた鍋でも、三年も取っておけば、何かの役には立つときが来るものである。まったく役に立たないものはないということの喩え。 類:●焙烙の割れも三年置けば役に立つ
・我に返る(われにかえる) 1.はっと気が付く。意識を取り戻す。蘇(よみがえ)る。 2.他の事に気を取られていたのが本心に返る。正気に返る。興奮が冷める。平静を取り戻す。
・我にて(われにて) 自分の経験では…。自分自身の立場からは…。 用例:拾遺−四三「春は猶我にて知りぬ花盛り心のどけき人はあらじな」
・我にもあらず(われにもあらず)[=なく] 1.自分であるという気がしない。人心地がしない。 類:●上の空で●無我夢中で●思わず知らず 用例:竹取「御子はわれにもあらぬけしきにて、きもきえゐ給へり」 2.自分の本心からではなく。不本意ながら。 類:●止むを得ず●渋々 用例:今昔−二六・九「俄に荒き風出来て、澳(おき)の方へ吹持行けば、我にも非で流れ行ければ」
・我はと思う(われはとおもう) 自分こそはと気負ったり、自惚(うぬぼ)れたりする。 用例:枕草子−133「女のすこし我はとおもひたるは、歌よみがましくぞある」
・我も我も(われもわれも) 多くの者が先を争う様子。 類:●我勝ちに●我先に
・我を忘れる(われをわすれる) 1.ものごとに夢中になって自分の存在を忘れる。興奮して理性を失う。 類:●恍惚(こうこつ)となる●茫然自失 2.自分のことを忘れる。自分を顧(かえり)みないで他人のことを言う。
・我を我と思う(われをわれとおもう) 自分のことを大切に思う。自分の才能を自負する。自分こそはと思う。