−はな(な)(hana5)−
・花七日(はななぬか・はななのか) 1.桜の花盛りは、僅(わず)か七日ばかりに過ぎない。桜の花盛りの短さをいう言葉。2.なにごとにつけ、盛りの時期はほんの僅かな期間であるということ。 類:●花一時人一盛り
・花に嵐(はなにあらし)[=風(かぜ)] 花見をしようとすると、得てして風が起こり、花弁を散らしてしまうものだということ。兎角(とかく)ものごとには邪魔が入り易いものだことの喩え。 類:●花発(ひら)いて風雨多し●月に叢雲花に風●花に風●魔障多し●好事魔多し
・鼻に当てる(はなにあてる) 自慢する。功名であるように言う。 類:●鼻に掛ける 用例:浮・御前義経記「おのれが有徳(うとく)を鼻に当てて」
・鼻に掛ける(はなにかける) 自慢する。誇り顔をする。得意がる。 類:●鼻に当てる 例:「学歴を鼻に掛ける」
・鼻に付く(はなにつく) 1.嫌な臭いが鼻を刺激する。 例:「安物の香水が鼻に付く」 2.同様なことが度重なり、飽きて嫌気が差す。 例:「いくら好きだからって、またカレーでは鼻に付くというもの」 3.言葉が嫌味に感じられる。 例:「杓子定規なところが鼻に付く」
・花盗人は風流の内(はなぬすびとはふうりゅうのうち・はなぬすっとは〜) 余所(よそ)の庭の桜を一枝手折(たお)るのは、確かに善い行ないではないが、その美しさに惹(ひ)かれた風流心のなせる業(わざ)だから、咎(とが)め立てせず大目に見てやるべきである。多く、桜の花を手折ったときの言い訳として使われる言葉。 由来:花盗人(はなぬすびと) 狂言。各流。男が桜の枝を折ろうとして捕えられ、木に縛(しば)り付けられるが、「この春は花の下にて縄つきぬ烏帽子桜と人やいふらん」という歌を詠(よ)んで許される。
・花のお江戸(はなのおえど)[=江戸] 江戸が繁華である様子を称(たた)えて言う言葉。
・花の顔(はなのかんばせ・かお・かおばせ) 1.咲いている花の姿。花の様子。2.花のように美しい顔。 類:●花顔(かがん)
・花の心(はなのこころ) 1.花に心があるものとして、花の心。2.相手の心を指して言う美称。3.花に寄せる思い。花に付いての風情(ふぜい)。4.移り気な心。浮気心。
・鼻の差(はなのさ) 僅かの差。 ★元来は競馬で、ゴール前の先着争いに馬の鼻先ぐらいの僅差の勝負をいう<国語大辞典(小)>
・鼻の先(はなのさき) 1.鼻の先端。鼻の頭。 類:●鼻頭(はながしら) 2.直ぐ目の前。近いところ。目前。 類:●目の当たり●目先 例:「鼻の先にある」 3.顔の表面。顔面。表情。 用例:浮・好色一代女−一「悦喜鼻の先にあらはなり」 4.通り一遍のこと。上面(うわっつら)だけのこと。口先だけのこと。 用例:評判・色道大鏡−五「鼻のさきの知恵をもって」 5.「鼻の先知恵」の略。
・鼻の先知恵(はなのさきぢえ) 目の前のことだけの考え。浅墓な知恵。 類:●鼻元思案●咽喉元思案
・鼻の先であしらう(はなのさきであしらう) 鼻先で「ふん」と応答する。相手の言葉に録に返事もしないで冷淡にあしらう。素気(すげ)無い態度をする。 類:●鼻であしらう
・鼻の先にぶら下がる(はなのさきにぶらさがる) 自慢するような様子が、顔付きや言動にはっきり現われている様子。
・鼻の先の疣々(はなのさきのいぼいぼ) 邪魔なもののこと。目障りなもののこと。 類:●目の上のたん瘤
・鼻の下が長い(はなのしたがながい) 1.愚かである。2.女に迷い易い。女に甘い。好色である。 類:●鼻の下の間口が広い●鼻の下が豊か
・鼻の下が干上がる(はなのしたがひあがる) 生計を立てる道を失って、食うのに困る。生活ができなくなる。 類:●顎が干上がる
・鼻の下の建立(はなのしたのこんりゅう) 寺社などで寄進を募(つの)るのは、実は、僧侶や神官の生活のためであるということ。
花の下より鼻の下(はなのしたよりはなのした) 花の下で風流な時間を過ごすより、鼻の下の口に食べさせる方が大事である。風流より、暮らしを立てることが大事であるということ。 類:●花より団子色気より食い気
・鼻の下を伸ばす(はなのしたをのばす) 主に男が、異性を見てだらしなくなる。表情が、好色で締まりがなくなる。でれっとする。
・花の父母(はなのふぼ) 草木を潤(うるお)し養うところから、雨や露のこと。 用例:和漢朗詠−上「養ひ得ては自ら花の父母たり」
・花の装い(はなのよそおい) 花のように美しい装い。美人の装い。