−ひと(な2)(hito5-2)−
・人の子(ひとのこ) 1.人間として生まれた者。人倫に則(のっと)った者としての人。また、人間を卑小さや弱者と捉(とら)えて指す言葉。 例:「彼も人の子、我が子は可愛いと見える」 2.子たるもの。子供。 反:■人の親 3.他人の子。4.子孫。 用例:万葉−4094「人の子は祖(おや)の名絶たず」 5.他人の愛している人。特に、まだ親掛かりである娘や人妻などを指す。6.主として福音書でイエスが自称したとされている称号。
・人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ(ひとのこいじをじゃまするやつは、うまにけられてしんじまえ) 他人の恋愛を邪魔するようなことは、無粋(ぶすい)の極みだから、往来を歩いていると、人にも馬にも蹴られるだろうよ、ということ。無粋を蔑(さげす)んで言う。 ★都都逸(どどいつ)からか。
・人の心は九分十分(ひとのこころはくぶじゅうぶ) 人の考えは違うといってもたいしたことはなく、つまるところ殆(ほとん)ど同じようなものだということ。
・人の子の死んだより我が子の転けた(ひとのこのしんだよりわがこのこけた) 他人の子が死んだことより、自分の子が転んだことの方が重大なことである。 1.親にとって自分の子ほど可愛いものはないということ。2.他人の苦痛は自分とは無関係である。自分の利害が第一である。 類:●人の痛いのは三年でも辛抱する●自己中心
・人の牛蒡で法事する(ひとのごぼうでほうじする) 他人の牛蒡を材料に精進(しょうじん)料理を作り、法事の持て成しをする。他人のものを利用して、自分の義理を済ませることの喩え。 類:●人の褌で相撲を取る
・人の善悪は針を袋に入れたるが如し(ひとのぜんあくははりをふくろにいれたるがごとし)[=錐(きり)嚢(ふくろ)を通す如し] 善人悪人の区別は、どのように取り繕(つくろ)ってみても必ず表に現れるものである。
・人の疝気を頭痛に病む(ひとのせんきをずつうにやむ) 自分に関係のないことについて、余計な心配をする。 類:●他人の疝気を頭痛に病む
・人の宝を数える(ひとのたからをかぞえる)[=隣の宝を〜] 自分には何の利益にもならないことの喩え。
・人の土俵で相撲を取る(ひとのどじょうですもうをとる) 他人の物を利用して、自分の事に役立てる。 類:●人の褌で相撲を取る●人の牛蒡(ごぼう)で法事する●人の太刀で功名する●舅(しゅうと)の物で相婿もてなす●貰い物で義理済ます●人の提灯で明かりを取る
・人の不幸は蜜の味(ひとのふこうはみつのあじ)・他人の〜 自分に直接影響しない他人の不幸は、見聞きするだににんまりするものであるということ。 ★出典は不詳。英語の「A Taste for Honey」からか。
・人の不善を言わば、当に後患を如何にすべき(ひとのふぜんをいわば、まさにこうかんをいかにすべき) 悪口を言えば、必ず恨まれ、後に災患が跳ね返ってくるものだということ。 出典:「孟子−離婁・下」「言人不善、当如後患何」<世の中には人の不善を殊更に取り立てて言う者がある。それらの者は、後で蒙る災いをどうするつもりか>
人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ)[=上見て我が身を思え] 他人の行為の善悪を見て、自分の行為を反省し改めよ。 類:●殷鑑遠からず●他山の石●前車の覆るは後車の戒め●後車の戒め●Learn wisdom by faults of others. (他人の愚行によって英知を学びとれ)<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>
・人の褌で相撲を取る(ひとのふんどしですもうをとる)[=提灯(ちょうちん)で明りを取る・太刀(たち)で功名する] 他人の物を利用して、自分の事に役立てる。 類:●人の牛蒡(ごぼう)で法事する●人の太刀で功名する●舅(しゅうと)の物で相婿もてなす●貰い物で義理済ます●人の提灯で明かりを取る●To rob Peter to pay Paul.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>
・人の将に死なんとする、その言や善し(ひとのまさにしなんとする、そのげんやよし) 人が死に臨んで言う言葉は、純粋で偽りも飾りもないものである。 出典:「論語−泰伯」「曾子言曰、鳥之将死、其鳴也哀。人之将死、其言也善」
・人の目に掛かる(ひとのめにかかる) 他人の目がこちらに向けられること。他人の関心を引いて興味ありげに見られること。注目されること。
・人の物は我が物(ひとのものはわがもの) 他人の所有する物も自分の物だという意味で、自分の物も他人の物も見境なく自分の所有物にするような強欲な様子。 類:●人の物は俺の物俺の物は俺の物