−かみ(kami)−
・噛み合う犬は呼び難し(かみあういぬはよびがたし) 喧嘩をしている犬を呼んでも、来はしない。目の前のことに手一杯で、何を言われても耳に入らないことの喩え。 類:●闘雀人に怖じず●戦う者はその身を忘るるものなり
・紙一枚(かみいちまい) 紙一枚ほどの僅(わず)かなものもという意味。1.下に打消しの語句を伴って、その事実、結果などの全くないことを強調する表現。 用例:今昔−二九・三六「盗人に紙一枚取らるる事なかりけり」 2.極めて価値が低いことを喩えて言う。 例:「お前の命なんて紙一枚の値打ちもない」
・紙一枚の主となる(かみいちまいのぬしとなる) 一枚の紙に戒名(かいみょう)を留めるだけになるということで、死ぬこと。
・神掛けて(かみかけて) 神に誓ってという意味で、自分の行動、言語、考え、判断などが確かであることを強調するのに用いる。 類:●誓って●必ず
・神風タクシー(かみかぜたくしー) スピードを出して無茶な運転をするタクシーのこと。
・上方贅六(かみがたぜいろく) 江戸で、上方の人を卑しめたり罵ったりして言った言葉。 ★「せいろく」は上方で丁稚(でっち)のことをいう隠語「さいろく」の江戸なまり<国語大辞典(小)>
・神が手(かみがて) ここでの神は海神のことで、海神の手中にあること。転じて、恐ろしい荒海。
・噛み砕く(かみくだく) 1.固い物を歯で噛んで細かくする。 用例:太平記−一二「柘榴を取りてかみ摧(クダ)き」 2.難しいことを分かり易くする。 例:「易しく噛み砕いて説明する」
・紙子着て川へ嵌まる(かみこきてかわへはまる)[=入る] 無分別な事や無謀な事をして自ら破滅を招くこと。 類:●墓穴を掘る
・紙子の火打ち膝の皿(かみこのひうちひざのさら) 貧乏なこと。 ★「火打」は、紙子の袖の付け根のほころびやすい部分にあてる火打金の形をしたもの。「膝の皿」は、貧乏のさまをいう「向脛(むこうずね)から火が出る」の句から、「火打」の「火」と頭韻を合わせていい続けたもの<国語大辞典(小)>
・噛み殺す(かみころす) 1.噛み付いて殺す。食い殺す。 用例:太平記−二九「人をさへ咀殺(カミコロ)し候ひける程に」 2.欠伸(あくび)や笑いが出ないように、口を閉じ歯を食い縛って我慢する。 例:「笑いを噛み殺す」
・裃を着る(かみしもをきる) 礼儀正しく、堅苦しい態度を取る。 例:「裃を着た付き合い」
・裃を脱ぐ(かみしもをぬぐ) 堅苦しく四角ばった態度をやめる。気楽に打ち解ける。 例:「裃を脱いで話し合いましょう」
・髪筋ほども(かみすじほど) 非常に少ない、また、小さいことの喩え。 類:●少しも 用例:仮・竹斎−上「智慧はかみすぢ程も無くて」
・剃刀の刃を渡る(かみそりのはをわたる)
・噛み付く(かみつく) 1.歯で食い付く。 用例:虎寛本狂言・鏡男「腹を立て、わらはにかみ付様に致す」 2.攻撃的な態度で、欠点を責め立てたり、文句を言ったりする。激しく議論を吹っ掛ける。 類:●食って掛かる 用例の出典:鏡男(かがみおとこ) 狂言。各流。鏡を知らない妻が、夫の土産(みやげ)の鏡に映った自分の顔を見て、夫が都から女を連れて帰ってきものと勘違いして喧嘩になる。
・神ならぬ身(かみならぬみ) 神でない、能力に限りのある、人間の身。 類:●凡夫の身
・神ならば神(かみならばかみ) 本当に神であるならば霊験を現わし給(たま)え、と神に向かって呼び掛ける言葉。
・雷落とし(かみなりおとし) 天窓などから細い縄などで室内に忍び入る泥棒のこと。
・雷親父(かみなりおやじ) 口喧しい父親。何かにつけ、すぐ怒鳴り付ける父親。
・雷が落ちる(かみなりがおちる) 目上の人から怒鳴り付けられること。酷(ひど)く叱られること。
・雷が鳴れば梅雨が明ける(かみなりがなればつゆがあける) 天気の諺。梅雨明けの頃に雷が鳴ると、それが梅雨明けの印であるということ。農事などに取り掛かる準備をすべきであるということ。 ★梅雨の末期の頃になると、晴れている日の午後に「熱雷(ねつらい)」が発生し易くなることから言う。
・紙に捻る(かみにひねる) お金や菓子などを懐紙(かいし)に包み、その上の方を捻って締める。また、子供などにお捻りを贈る。
・神の正面仏のま尻(かみのしょうめんほとけのしり) 神棚は正面の高い所に、仏壇は陰に設けるべきものだということ。
・髪の長きは七難隠す(かみのながきはしちなんかくす) 女性の髪の長いことは、他の欠点を隠してしまうということ。 類:●色の白いは七難隠す
・神の神庫も梯のままに(かみのほくらもはしだてのままに) 高く近寄り難いところでも梯子を架ければ上れるということから、どんなに困難なことでも、適切な手段を用いれば成し遂げることができるということ。
・神は正直の頭に宿る(かみはしょうじきのこうべにやどる) 神様は正直な人を守護し給う。正直に生きていればやがて良いことがある。 類:●正直の頭に神宿る 反:■正直者が馬鹿を見る
・神は非礼を受けず(かみはひれいをうけず) 正しくない目的で神を祀(まつ)っても、神はその心をお受けにならないということ。
・神は見通し(かみはみとおし)[=お見通し] 神はどんな小さなことでも見ていて、なんでもご存じであるから、誤魔化(ごまか)すことはできないという戒め。 類:●天は見通し●お天道様はお見通し
・紙一重(かみひとえ) 物と物との間隔や隙間が極めて薄いこと。また、数量や程度の差が極めて僅(わず)かであること。 例:「馬鹿と天才は紙一重」
・神も仏もない(かみもほとけもない) 1.慈悲を垂れて下さる神も仏もないということで、無慈悲、薄情なこと。 類:●血も涙もない 用例:義経記−巻七・判官北国落の事「残りの山伏共も、理なり、誠に世には神も仏もましまさぬかとて」 2.神も仏も眼中になく、ただそのものだけが大切であるという意味で、大事にし、尊敬する対象がそれ以外にはないということ。
・上漏り下潤う(かみもりしもうるおう) 上に立つ為政者が情け深い政治を行なえば、下々の人民は潤って豊かになるものだということ。
・髪結いの亭主(かみゆいのていしゅ) 妻の働きで生活している夫のこと。
髪結いの乱れ髪(かみゆいのみだれがみ) 他人のことで忙しくて、自分に構っていないこと。 類:●紺屋の白袴
・神代の風(かみよのかぜ) 神代の昔から変わらず伝えられている慣わし。 用例:光悦本謡曲・難波「神代のかぜのどかにつたはり」 用例の出典:難波(なにわ) 謡曲。世阿弥元清。成立未詳。熊野参りの帰りに立ち寄ったとある梅の木の謂われと、それに纏(まつ)わる仁徳帝の故事。百済から来た王仁(おうにん)、此花咲也姫(このはなさくやひめ)が登場する。
・髪を下ろす(かみをおろす)[=落とす] 髪を剃り落として僧になること。また、髪を短く切って尼になること。 類:●剃髪(ていはつ)する●落飾する
・上を学ぶ下(かみをまなぶしも) 下にある者は、上にある者を真似ながら学ぶものである。