50.【い】 『井(い)の中の蛙(かわず)大海(たいかい)を知らず』 (2000/10/30)
『井の中の蛙大海を知らず』
自分の狭い知識や見解に囚(とら)われ、他に広い世界があることを知らないで、得々と振る舞っている者のことを蛙に喩えた言葉。
類:●井蛙(せいあ)●坎井(かんせい)の蛙(あ)●井底の蛙●夏の虫氷を笑う●夏の虫雪を知らず●燕雀は天地の高きを知らず●尺沢(せきたく)の鯢(げい)●内鼠●針の穴から天上覗く●The frog in the well does not know the ocean.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>
出典:「荘子−秋水」「井蛙不可以語於海者、拘於虚也」[井蛙(せいあ)は以って海を語るべからず、虚(きょ)に拘(なず)めばなり(井戸の中の蛙に海のことを話しても分からないのは、狭い場所にこだわっているからである)] 寓話。井桁に足を掛けていた蛙が東海に住む亀に向かって「私はこの古井戸を独占し、居ながら青天を望むことが出来る。君もここへ入ってみなさいな」と自慢した。亀は井戸に入ることも出来ず、大海の広さについて話して聞かせた。蛙はただ驚き、亀は蛙の見識の狭さに呆れた。
参考:黄河の水神の「河伯(かはく)」は秋になると水かさを増し美しくなる黄河の流れを得意げに見渡しながら流れに身を任せ、渤海へと出た。河伯は渤海の広大さを見て驚くと共に、黄河の流れを得意に思っていた自分の見識の狭さを恥じ。河伯はそのことを包み隠さず渤海の神「若(じゃく)」に話すと、若は河伯にこう言った。「井の中の蛙は海の事を話しても分からない。なぜなら蛙は自分の住む井戸の中を全てと思い込み海を知ろうとしないからだ。しかし、自分の見識の狭さを知った君とは海のことについて語り合える。」
蛇足:「井の中の蛙大海を知らず」に続く言葉とするものがある。後の人が付けたものと考えられるが、定かではない。@「されどその深さを知れり」A「されど天の深さ(青さ)を知れリ」B「ただ、空の深さを知るのみ」 ・・・情報をお待ちしています。
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