−あさ(asa)−
朝雨に傘要らず(あさあめにかさいらず) 朝の雨は直ぐに晴れるから、傘は要らないということ。
朝雨に鞍置け(あさあめにくらおけ) 朝の雨は直ぐに晴れるものだから、馬に鞍を置いて外出の支度をせよということ。
朝雨は女の腕捲り(あさあめはおんなのうでまくり) 1.朝雨は、力の弱い女の腕捲り同様、恐れるに足りない。朝雨は直ぐに止むものだということ。 類:●朝雨に傘要らず 2.朝雨も女の腕捲りも大したことはないということ。恐れるに足りないことの喩え。 類:●俄雨(にわかあめ)と女の腕捲り
浅い川も深く渡れ(あさいかわもふかくわたれ) 浅い川であっても、深い川と同様に用心して渡れということ。簡単そうで安全そうに見えるからといって、決して油断してはいけない。 類:●深く取って浅く渡れ●用心は深くして川は浅く渡れ
朝顔の花一時(あさがおのはないっとき・いちじ) 朝顔の花が開いているのは早朝のほんの一頻りで、あっけなく萎んでしまうことから、儚いことのたとえ。 類:●朝顔の露●朝顔は晦朔(かいさく)を知らず●槿花(きんか)一日の栄●槿花一朝
浅瀬に徒波(あさせにあだなみ) 思慮(しりょ)の浅い者ほど、なんでもないことなのに、無益(むえき)に大騒ぎをするものだということ。 類:●空き樽は音が高い ★「古今和歌集−七二二」「底ひなき淵やはさわぐ山川の浅き瀬にこそあだ波はたて」から。
明後日紺屋に晩鍛冶屋(あさってこうやにばんかじや)[=今度鍛冶] 紺屋と鍛冶屋は注文した日に品物が間に合わないことが多かったところから、納期などが信用できないことの喩え。また、約束が当てにならないこと。 類:●蕎麦屋の出前●医者の只今
糾える縄(あざなえるなわ) 「糾える」は、縁り合せる、綯(な)うの意味。縁った縄のように、福と災いは互いに絡(から)まり合って離れないものだということ。 類:●禍福(かふく)は背中合わせ
朝の命(あさのいのち) 命は朝露のように短く儚(はかな)い。 類:●蜻蛉(かげろう)の命●露命
朝の蜘蛛は福が来る夜の蜘蛛は盗人が来る(あさのくもはふくがくるよるのくもはぬすびとがくる) 朝の蜘蛛は福を持ってくるので殺してはいけないが、夜の蜘蛛は泥棒が来る前ぶれなので必ず殺しなさいということ。古くからの迷信。 類:●朝の蜘蛛は殺すな夜の蜘蛛は殺せ 由来:(諸説あり)@ 吉兆説 古墳時代の貴人・衣通郎姫(そとおしのいらつめ)と言う人が、「朝、蜘蛛が笹の根本で巣を掛けるのは、待ち人の来る吉兆だ」と詠っている。A益虫説 朝の蜘蛛は、これから巣を張って、害虫を捕ってくれるから。B害虫説 夜の蜘蛛はそのまま巣を作るから。C王の言葉説 朝、つまり鉄器を作り始めの産鉄民はまだまだ殺すには早い、夜、つまり鉄器を作り終えた産鉄民を殺して品物を奪え、ということ。
麻の如く(あさのごとく) 麻糸が乱れ縺(もつ)れるように乱れている状態を指す。主に、世の中の状態などが乱れることを形容する場合に使う。 類:●乱麻●糸の乱れ
麻の中の蓬(あさのなかのよもぎ)
浅墓(あさはか) 1.思慮が足りないこと。また、心持ちが浅薄(せんぱく)なこと。 用例:源氏−朝顔「あさはかなる筋など、もて離れ給へりける人の御心を」 例:「浅はかな考え」 2.通り一遍で、あっさりとした。風情(ふぜい)や趣(おもむき)に深みのない様子。 類:●仮初め 用例:源氏−須磨「『いける世のわかれを知らでちぎりつつ<略>』など、あさはかに聞こえなし給えば」 3.取るに足りないこと。 用例:源氏−須磨「あさはかなる事にかかづらひてだに公のかしこまりなる人の」 ★「はか」は量の意かという。「浅墓」は当て字<国語大辞典(小)>
朝腹に茶漬け(あさばらにちゃづけ) 1.朝の空腹時には、茶漬けを食べたくらいでは腹の足しにならないことから、ものごとが少しも堪(こた)えないことの喩え。 類:●朝腹の茶粥(ちゃがゆ) 2.さらさらと容易(たやす)く入ってしまうことから、極めて容易なことの喩え。  類:●朝腹の茶粥●朝飯前●お茶の子さいさい
朝日が西から出る(あさひがにしからのぼる) 朝日が西から昇るという意味で、ありえないことをたとえていう。 類:●川の水が逆さに流れる
朝日の昇る勢い(あさひののぼるいきおい) ものごとの勢いが盛んな様子を喩(たと)えていう。 類:●旭日の勢い●旭日昇天の勢い
麻布のお方で木が知れぬ(あざぶのおかたできがしれぬ) 地口の一つ。どんなつもりでそんなことをしたか気が知れないということ。江戸の麻布には六本木という地名があるが、それに相当する木が見当たらないので、木が知れぬを気が知れぬと掛けた洒落。 類:●麻布で気が知れぬ
薊の花も一盛り(あざみのはなもひとさかり) 刺(とげ)のある薊でも、花が咲く美しい時期があるという意味で、醜(みにく)い女性でも、年頃になれば魅力が出るものであるということ。 類:●蕎麦(そば)の花も一盛り●鬼も十八番茶も出花
朝飯前(あさめしまえ) 朝飯をまだ食べていない空腹の状態でも簡単な。または、起きてから朝食までの短い時間ででもできるような容易な。  類:●朝腹に茶漬け●朝腹の茶粥●お茶の子さいさい
朝焼けはその日の洪水(あさやけはそのひのこうずい) 天候に関することわざ。朝、東の空が真っ赤になると、その日は大雨が降るということ。 類:●朝虹はその日の洪水
朝夕の煙(あさゆうのけぶり・ちょうせきの〜) 朝夕の炊事の煙のこと。また、日々のくらし、生活感。
麻を担って金を捨てる(あさをになってかねをすてる) 物を手に入れた喜びの余り、前から持っていた、より値打ちのある物を手放してしまうこと。目先の利益ばかりを喜ぶ愚かさを戒めていう言葉。
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