−かき(kaki)−
・書き入れ時(かきいれどき) 帳簿の記入に忙しい時ということで、多くの利益が最も期待される時。転じて、利益が多い時。商売が儲かる時。 例:「夕方はスーパーの書き入れ時」
・柿が赤くなると医者が青くなる(かきがあかくなるといしゃがあおくなる) 柿を食べると病気にならないと言われ、柿の熟す秋になると病気になる者が少なく、医者はあがったりで青くなる。 ★実は、このような諺のできた時代には、農民が多く、秋と言えばちょうど農繁期で、医者に行く暇などなかったからだとも言われている。貧しく、忙しい時代ならではの諺かもしれない。
・垣堅くして犬入らず(かきかたくしていぬいらず) 家庭が健全であれば、外部からこれを乱す者は入って来ない。
・餓鬼に苧殻(がきにおがら) 1.飢えて力のない者が折れ易い苧殻を振り回すように、なんの力にも、頼りにもならないことの喩え。 反:■鬼に金棒 ★「苧殻」は、麻の皮を剥(は)いだあとの茎。 2.無意味でなんにもならないことの喩え。
・鉤に掛ける(かぎにかける) 巧いことを言って騙(だま)す。また、騙し取る。引っ掛ける。 ★遊里で多く用いられた<国語慣用句辞典(集)>
・鍵の穴から天を覗く(かぎのあなからてんをのぞく) 自分の狭い見識で考えて、広大なことについて勝手な判断を下すこと。 類:●管(くだ)を以て天を窺う●葦(よし)の髄から天井を見る
・餓鬼の目に水見えず(がきのめにみずみえず) 餓鬼は飢えと渇(かわ)きがあまりに酷(ひど)いので、傍(そば)に水があっても、求めている水が目に入らない。熱望し過ぎて、却って求める物が近くにあるのに気付かないこと。また、ものごとに熱心過ぎて、却って肝心の物を見落としてしまうことの喩え。
・餓鬼の物をびんずる(がきのものをびんずる)[=びんずり] いつも飢えている餓鬼がやっと得た食物を奪い取る。貧しい者から金品を強引に奪い取ることの喩え。 ★「びんずる」は「引っ取る」を「餓鬼」の縁で「賓頭盧(びんずる)」に掛けていったものか<大辞泉(小)>
・嗅ぎ回る(かぎまわる) 1.あちこち臭いを嗅いで回る。2.比喩的に、何かを知るためにあちこち探り歩く。 例:「刑事が何かを嗅ぎ回っている」
・餓鬼も人数 (がきもにんじゅ・にんず) 1.つまらない人間でも、いれば、時には多少の役割を果たすものだということ。 類:●枯れ木も山の賑わい 用例:浄・国性爺合戦−正徳・巻二「ヤア、餓鬼も人数、しほらしい事ほざいたり」 2.弱小な者でも、多く集まればその勢いも侮(あなど)り難くなるということの喩え。 類:●痩せ牛も数集れ●蟻も軍勢
・蝸牛角上の争い(かぎゅうかくじょうのあらそい)
・蝸牛の歩み(かぎゅうのあゆみ) 蝸牛(かたつむり)の歩みのように、遅々として捗(はかど)らない様子。
・蝸牛の庵(かぎゅうのあん・いおり)[=廬(ろ)・家] ささやかな住まい。 類:●蝸廬(かろ)
・火牛の計(かぎゅうのけい) 1.中国の戦国時代に斉(せい)の武将・田単(でんたん)が用いたとされる策。牛に五色の竜文を描いた赤い絹(きぬ)を着せ、その角に兵刃(へいじん)を付けさせ、尾に葦(あし)を結んて点火し、夜陰(やいん)に乗じて敵陣に放(はな)った。火に驚いた牛は怒涛(どとう)の如く敵陣に押し寄せた。 出典:「史記−田単列伝」「田単乃収城中、得千余牛、為絳処゚、画以五彩竜文、束兵刃於其角、而灌脂束葦於尾、焼其端」 2.知恵を絞(しぼ)って画策(かくさく)した、思い掛けない戦術の喩え。 類:●奇策
・限りの旅(かぎりのたび) 二度と出掛けることのない旅。最後の旅。
・垣を作る(かきをつくる)[=結(ゆ)う] 1.多くの人が、垣のように周囲に集まったり、立ち並んだりする。 類:●人垣を作る 2.他人との間に隔てを作る。分け隔てをすること。
・柿を盗んで核を隠さず(かきをぬすんでさねをかくさず) 悪事や欠点・悪戯(いたずら)などを、自分では上手に隠したつもりでも、実際には肝心な所が隠し切れていないこと。浅知恵を嘲(あざけ)る言葉。 類:●頭隠して尻隠さず●雉の草隠れ●身を隠し陰を露す●らっきょう食うて口を拭う