−あい(ai)−
哀哀たる父母、我を生みて劬労す(あいあいたるふぼ、われをうみてくろうす) 哀しくも労(いたわ)しい父母は、私を生み育てるのに大変な苦労を重ねられた。子が親の死を悼み、その恩に報いることができなかったことを嘆くこと。孝子が親を慕う心情を歌う句。 出典:「詩経−小雅・蓼莪(りくが)」「蓼蓼者莪、匪莪伊蒿、哀哀父母、生我劬労」
合縁奇縁(あいえんきえん) 《四熟》 主に男女の出会いや友人との巡り合いに用い、結婚したり親しくなったりするのもしないのも、全て因縁(いんねん)によるということ。 類:●縁は異なもの味なもの●袖振り合うも多生の縁躓く石も縁の端●なにごとも縁
愛多ければ憎しみ至る(あいおおければにくしみいたる) 特別に可愛がられることが多ければ、その一方で必ず人から憎まれるようになる。 出典:「亢倉子−用道」「恩甚則怨生、愛多則憎至」 出典:亢倉子(こうそうし) 道家の書。天宝元年(742)。二巻。周の庚桑楚(こうそうそ)の著と言われたが、唐の王士元の偽撰とされる。
相客に心せよ(あいきゃくにこころせよ) 「相客」とは同席した客のこと。同席者には気を配りなさいということ。 ★利休七則の一つ。
愛敬付き合い(あいきょうづきあい) 親身でない、通り一遍の付き合い。 類:●商売付き合い●義理の顔出し●愛敬ぼくろ
哀鴻遍野(あいこうへんや) 《四熟》 悲しげに鳴くヒシクイが野にたくさんいる。到るところに呻(うめ)き苦しむ声が聞こえ、行き場を失った被災者・難民が溢(あふ)れていることの喩え。 類:●遍地哀鴻 出典:「詩経−小雅・鴻雁」「鴻雁于飛、哀鳴嗷嗷」
挨拶は時の氏神(あいさつはときのうじがみ) 争いごとの仲裁を買って出てくれる人は、その場にとって氏神さまのように有り難い存在である。仲裁人の取り成しには従うべきである。 類:●仲裁は時の氏神 ★ここでの「挨拶」は、仲裁のこと。
愛想(あいそ) 1.人に対する応対の仕方。好感を持たれる言葉遣い・表情・態度など。 例:「愛想がない態度」 2.人を喜ばせるための言葉や振る舞い。 類:●お世辞●愛嬌(あいきょう) 例:「お愛想を言う」 3.相手に抱いている好意や親しみ。 例:「愛想が尽きる」 4.特別な心遣いや持て成しなど。また、気を利かして与える金品。 例:「何のお愛想もございませんで…」 5.飲食店などの勘定・勘定書。 ★「あいそづかし」の略で、これを見るとあいそが尽きるの意からという。もと関西の語<国語大辞典(小)> ★「あいそう」を短く呼んだもの。現代では「あいそ」が一般的であるが、「あいそう」とも。愛らしい、親しみのこもった様子の意で、「愛相」が本来の表記という<国語大辞典(小)>
愛想が尽きる(あいそがつきる) それまで持っていた好意や愛情がすっかり失せてしまうこと。 類:●愛想も小想(こそ)も尽き果てる●愛想尽(づ)かし
開いた口が塞がらない(あいたくちがふさがらない) 呆れ返ってものが言えない。 類:●話にならない 用例:浄・仮名手本忠臣蔵「師直はあいた口塞がれもせずうつとりと」
開いた口に餅(あいたくちにもち) 思い掛けない幸運に恵まれること。 類:●棚から牡丹餅
間に立つ(あいだにたつ) 両者の間に入って、仲を取り持つ。仲介する。 類:●間に入る
相槌を打つ(あいづちをうつ) 鍛治が向かい合って槌を打つところから、相手の意向に合わせる。人の話に同意する。
相手変われど主変わらず(あいてかわれどぬしかわらず) 相手は次々に変わっても、こちらは相変わらず同じことを繰り返している。
相手に取って不足はない(あいてにとってふそくはない) 自分の相手として十分対抗できるほどの力量を持っている。互角に渡り合える相手である。 例:「去年の優勝者か。相手に取って不足はない」
相手のさする功名(あいてのさするこうみょう) 自分が優(すぐ)れているためでなく、相手が劣っていたり、失敗したりしたために得る意外な功名や手柄。
相手のない喧嘩はできぬ(あいてのないけんかはできぬ) 喧嘩は受けて立つ者がいて初めて成り立つのであって、 一方がどんなにいきり立っても、相手にしなければ喧嘩になりようがない。喧嘩を売られても相手になるなという戒(いまし)め。 類:●一人喧嘩はならぬ●相手なければ訴訟なし●It takes two to make a quarrel.(喧嘩には二人が必要)<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>
相手の持たする心(あいてのもたするこころ) 相手の持っている心がこちらに影響を及ぼすという意味で、相手の出方次第でこちらの出方を決めようとする。 類:●相手の出方次第
生憎(あいにく) 1.こちらの目論見(もくろみ)と違ったり、目的と合わなかったりで、具合いの悪い。折り合わないこと。 用例:滑・浮世風呂−二「此頃はあひにくに商が隙でのや」 例:「あいにくな天気(=雨模様)」 2.都合の悪いことに。折悪しく。 用例:人情・春色梅児誉美−四「夕べはあいにく客人が落合ひなんして」 ★「あやにく」の変化。「あや」は感動詞、「にく」は「にくし」の語幹<国語大辞典(小)>
相盗人(あいぬすびと) 一緒に計画を立てた盗人同士の意味で、密かに謀り合った仲間。 類:●同じ穴の狢●臭(くさ)い仲
愛の鞭(あいのむち) 一見厳しいものに見受けられるが、実は、叱咤(しった)激励を旨としている言葉や行為。主に、師や親などからの教導の言葉や行為を指して言う。
愛は世の中を動かす(あいはよのなかをうごかす) 他人や他国への愛が、世の中を円満に保つ元だということ。愛と理解によって、世界はもっと住み良いものになるということ。 反:■Money makes the world go round. ★英語の諺Love makes the world go round.から。
愛別離苦(あいべつりく) 仏教用語。八苦の一つ。愛する人と別れるときの苦しみ。 類:●哀別悲離(あいべつひり) 出典:五王経(ごおうきょう) 経典。「仏説五王経」。・・・調査中。
曖昧模糊(あいまいもこ) 《四熟》 ものごとの輪郭がはっきりしないで、ぼんやりしている様子。 類:●あやふや
相俟って(あいまって) 二つ以上の事が、お互いに作用し合って。お互いの力によって。多く、プラスに働く場合に用いる。 類:●相乗効果 例:「両々相俟って」 ★二つ以上の事柄がいっしょになって、ある結果をひき起こす場合などにいう<国語大辞典(小)> ★「俟つ」は期待する意<新明解国語辞典(三)>
相身互い(あいみたがい) 同じ境遇や状況に置かれた人同士が、お互いに同情し合い、助け合うこと。また、そのような間柄であること。 類:●世は相持ち 例:「女は相身互い」 ★「相身互身(あいみたがいみ)」の略<国語大辞典(小)>
足のほろほろ(あいやのほろほろ)[=ほほら・ほほろ・ぼらぼら・ぼろぼろ] よちよち歩きの幼児に対して使う。手を引いて歩かせるときに言う言葉。「あんよは上手」の類。あいやぼろぼろ。 ★「ほろほろ」はぶらぶら漫歩するさまをいう語とも、調子をとるために添えた語ともいう<国語大辞典(小)>

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