−あく(aku)−
悪因悪果(あくいんあっか) 悪いことをすれば、必ず悪い結果が出るということ。 類:●悪の報いは針の先●肉(しし)食った報い
悪縁契り深し(あくえんちぎりふかし) 良くない縁と分かっていても、そういう悪縁こそ、なかなか断ち切ることができないものだということ。 類:●腐れ縁は離れず●悪女の深情け
灰汁が強い(あくがつよい) 性格や言動、文章などが、独特のどぎつさやしつこさを含んでいて好ましくない。個性が強過ぎて馴染(なじ)めない。 類:●癖がある 例:「あの作家の文章はあくが強い」 ★「あく」は、普通、仮名で書く<大辞林(三)>
灰汁が抜ける(あくがぬける) 洗練されて厭味がなくなる。さっぱりとしている。 類:●垢抜けがする●渋皮が剥(む)ける
悪逆無道(あくぎゃくむどう・あくぎゃくぶどう) 悪逆で道理に外れたこと。悪逆を強めていう言葉。 類:●悪業非道
悪妻は百年の不作(あくさいはひゃくねんのふさく)[=六十年の不作] 性質の悪い妻は一生の不幸である。また、夫、子供だけではなく、子々孫々まで悪影響を及ぼす恐れがある。妻選びは慎重にせよということの喩え。 類:●悪婦破家●女房の悪いは六十年の不作 ★江戸期の川柳から。
悪事千里を走る(あくじせんりをはしる)
悪事身にとまる(あくじみにとまる)[=返る] 自分で犯した悪事は自分に戻って来る。 類:●天に唾(つばき)す
悪女の深情け(あくじょのふかなさけ) 1.器量の悪い女性ほど、情が深いということ。 類:●The plainer the woman, the fiercer the love.  ★ここでの「悪女」は 器量の悪い女性のこと。 2.また、有り難迷惑の喩え。
齷齪(あくせく・あくそく) 1.心にゆとりがなく、目先にだけ心を奪われたように忙しくする様子。仕事ばかりに囚(とら)われて、十分な休養を取る暇がない様子。 用例:雑俳・筑丈評万句合「あくせくでかせいだ暮の餅の重」 ★多く、軽い批判や自嘲(じちょう)を伴う文脈で用いられる<新明解国語辞典5(三)> 2.心が狭く、小さいことに拘(こだわ)ること。 ★「あくさく」の変化<国語大辞典(小)> ◆齷齪の[元の意味] @歯と歯との間がせまいさま。Aさしせまるさま。B心のせまいさま。Cこせこせするさま。D《俗語》不潔なさま<学研漢和大字典> 用例の出典:筑丈評万句合(ちくじょうひょうまんくあわせ?) 雑俳。川柳、狂歌集。寛延元年(1748)。・・・詳細調査中。
悪戦苦闘(あくせんくとう) 1.強敵相手に、非常に苦しい戦いをすること。 2.困難な状況になり、それを乗り切るために大変な努力をすること。 例:「悪戦苦闘の末、契約を取り付けた」
悪銭身に付かず(あくせんみにつかず) 不正に得た金銭は、無駄なことに使われがちなので、すぐになくなってしまう。 類:●Ill gotten, ill [soon] spent.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>
悪態を吐く(あくたいをつく) 悪口を言う。 類:●憎まれ口を叩く
悪天候を売る(あくてんこうをうる) 主に米相場で、天候が悪いと豊作が危ぶまれるため、買い注文が殺到する、その機会を狙って売りまくることをいう。 反:■悪天候を買う
灰汁どい(あくどい) 1.色や味、やり方などが諄(くど)くて嫌な感じである。 類:●諄い●どぎつい 用例:俳・炭俵−下「同じ事老の咄しのあくどくて」 2.やり方が度を越していて質(たち)が悪い。悪辣(あくらつ)である。 例:「あくどいやり口」 ★「悪どい」と書くのは間違い。 ★「あく」は灰汁(あく)の意、「どい」は接尾語。あくが強い、の意<大辞林(三)> ★元関西方言という。 用例の出典:炭俵(すみだわら) 俳諧撰集。2巻2冊。志太野坡(やば)・小泉孤屋・池田利牛編。元禄7年(1694)刊。俳諧七部集の一つ。歌仙七巻、百韻一巻、蕉門の発句250余句を収録。巻頭は「梅が香にのっと日の出る山路かな」を発句とする松尾芭蕉・野坡両吟歌仙で、芭蕉晩年の風調を最もよく示した作とされる。高悟帰俗の精神に基づいた「軽み」の作風は後の俳壇に大きい影響を与えた。
悪の小なるを以って之れを為すこと勿れ(あくのしょうなるをもってこれをなすことなかれ) 仮令(たとえ)小さい悪事といえども、悪事は一切してはならない。小さい悪事も積み重なれば大悪となるということ。 出典:「小学−嘉言」「漢昭烈曰、勿以悪小而為之、勿以善小而不為」 漢の昭烈が我が子を戒(いまし)めた言葉。後に、蜀(しょく)の劉備も劉禅(りゅうぜん)に対して用いた。 出典:小学(しょうがく) 初学者課程の書。劉子澄(りゅうしちょう)が朱子に指導を受けて編集したもの。内外2編、全6巻。日常の掃除や応対、進退などの作法、修身道徳の格言、忠臣孝子の事績などを集めている。
悪の報いは針の先(あくのむくいははりのさき) 悪いことをした報いは、針先の周りを回るほどに速くその身にやってくる。悪事は長続きするものではないということ。 類:●因果は皿の縁(ふち)●因果覿面●因果歴然●天罰覿面
握髪吐哺(あくはつとほ) 為政者の、賢者を求める気持ちが強いこと。賢者の到来の折、待たせることなく直ぐ会うこと。 類:●吐哺握髪●握髪 故事:「史記−魯周公世家」 周公は、賢者の訪問を受けたら、洗髪の途中でも髪を手に握ったまま出ていって会い、また、一旦口に入れた食べ物でもそれを吐き出して直ぐに会った。 出典:「韓詩外伝」・「史記−魯周公世家」
悪は延べよ(あくはのべよ) 悪いと思うことは、すぐ止(や)めないにしても、一応延期しなさい。そうすれば事情がやがて変化して、やらなくても済むようになる。 反:■善は急げ 用例:俳・毛吹草‐二「ぜんはいそげあくはのべよ」
欠伸を噛み殺す(あくびをかみころす) あくびが出そうなとき、無理に押さえる。 類:●欠伸を押さえる
悪木盗泉(あくぼくとうせん) 悪木と呼ばれている木の陰にはひと時も休むべきではなく、盗泉と呼ばれる名の泉の水は誤っても飲むべきではない。どんなに苦しくても、道に外れるようなことはしないということ。 類:●熱しても悪木の陰に休まず●渇しても盗泉の水を飲まず●武士は食わねど高楊枝●鷹は飢えても穂を摘まず 出典@:陸士衡(陸機)「猛虎行」「渇不飲盗泉水、熱不息悪木陰」 出典A:「周書−寇儁(かんしゅん)伝」「悪木之陰、不可暫息、盗泉之水、無容[りっしんべん+呉]飲」 源典:「淮南子−説山訓」「曾子立廉、不飲盗泉、所謂養志者也」 出典:北周書(ほくしゅうじょ)・後周書(こうしゅうじょ) 中国の正史。唐の令孤徳墮ら。貞観10年(636)。50巻。本紀8巻、列伝42巻。太宗の勅命によって撰したもの。北朝、後周の文帝から静帝に至る5世26年間を中心にした紀伝体の断代史。一般に『周書(しゅうしょ)』とも。
胡座をかく(あぐらをかく) その立場や状態にあって良い気になっている。図々しく構える。 類:●居座る
明くる今日(あくるきょう) その日の次の日である今日。明くる日に当たる今日。
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