−なさ(nasa)−
・情け後る(なさけおくる) ものの哀れを知る心が薄い。情愛に乏しい。思い遣りがない。
・情けが仇(なさけがあだ) 好意をもってしたことが、却(かえ)って相手のためにならない結果になること。思い遣りが却って悪い結果を生むこと。 類:●情けの罪科(ざいか)●恩が仇●慈悲が仇になる
・情けない(なさけない) 1.情愛や思い遣りがない。 類:●薄情である●すげない 用例:伊勢−六三「子三人を呼びて語りけり、二人の子は、なさけなくいらへて止みぬ」 2.情緒や風情が欠けている。興醒めである。 用例:源氏−夕顔「すき給はざらんもなさけなくさうざうしかるべしかし」 3.情け容赦なく、残酷である。酷い。 用例:史記抄−八「呉楚七国は亜夫か巧て平らけられたか、なさけなう罪人にして殺されたぞと論したぞ」 4.興醒めがする様子。嘆かわしい。惨めである。 例:「情けない世の中」「連敗とは情けない」 用例:滑・浮世床−初「ア情(ナサケ)ない実に嘆息するのみだ」
・情けに刃向かう刃なし(なさけにはむかうやいばなし) 情を掛けられると、誰も歯向かうことができない。仁愛に対しては反抗しようがない。 類:●仁者に敵なし
・情けの糸(なさけのいと) 情に絆(ほだ)されること。心が引っ張られるような状態を糸に喩えて言った言葉。
・情けのさけより酒屋の酒(なさけのさけよりさかやのさけ) 同情よりも、実際に役立つ金品や援助の方が有り難いということ。 類:●心持ちより搗いた餅●思し召しより米の飯●挨拶より円札(=万札)●(俗)同情するなら金を呉れ ★「なさけ」の「さけ」と、「酒」を掛けた洒落(しゃれ)。
・情けの末(なさけのすえ) 情の恵みが及ぶ末端の方。及ぶ情愛の量が乏しいということ。
・情けの種(なさけのたね) 1.人情の根源。2.情を交わしたためにできたもののこと。腹に宿した情人の子。
・情けの露(なさけのつゆ) 情愛の潤い。露に喩えて言ったもの。
・情けの錦(なさけのにしき) 美しい情愛。錦に喩えて言ったもの。
・情けの負け(なさけのまけ) 哀れみを掛けて負けてやること。お情けで負けてやること。
・情けの道(なさけのみち) 人情の道。また、恋の道、色の道。
・情けは人のためならず(なさけはひとのためならず)⇒雑学辞典「情けはひとのためならず」とは?
・情けも過ぐれば仇となる(なさけもすぐればあだとなる) 人に情けを掛けるのも、程度を越すと却(かえ)って、相手のためにならなかったり迷惑がられたりするものである。 反:■情けは人のためならず
・情けを売る(なさけをうる) 1.色を売る。遊女が客に身を任す。2.情を人に掛ける。主に、自分の利益を考えて、人に情を施しておくこと。 類:●情けを鬻(ひさ)ぐ●情けを商う●色を売る
・情けを掛ける(なさけをかける) 情を含んだ言葉を掛ける。可愛がる。また、哀れみを掛ける。哀れんで助けてやる。 類:●労わる
・情けを交わす(なさけをかわす) 情愛を交わす。愛し合う。親しみ合う。
・情けを知る(なさけをしる) 1.人の情の細やかさを知る。2.色の道に通ずる。また、情事を経験する。
・生さぬ仲(なさぬなか) 義理の親子の間柄。継父(ままちち)または継母と継子との間柄。また、養父母と養子との間柄。