大坂なおみ選手が、全米オープン・シングルス決勝でセリーナ・ウィリアムズ選手を6-2,6-4のストレートで破って優勝した。
大坂選手は、サービスが絶好調、リターンミスが少なく、フットワークでもセリーナを圧倒。
更にこの試合では、4大大会の決勝という場には相応しくない、もう一つの闘いがあった。
試合ではセリーナが「違法コーチング」として主審のカルロス・ラモス氏から警告を受けたフラストレーションをコントロールできなくなり、ラケットをコートに叩きつけて壊したり、主審に暴言を吐いたりと、セリーナと主審の「場外心理戦(?)」に、私は朝早い時間にも関わらずテレビに釘付け。その異様な雰囲気に驚き、2セット目の録画を、更に3回も繰り返し観てしまった。
第2セット、第2ゲーム:
「違法コーチング」で主審から1度目の警告を受け、セリーナは「勝つために不正はしていない」と抗議。
第3ゲーム:
コーチのパトリック・ムラトグルー氏がもっとネットに近づくように指示する手ぶり。セリーナが積極的にネットプレーを仕掛けるようになった。(指示の影響があったか真偽不明。)
第5ゲーム:
セリーナがブレークバックを許したことに苛立ち、ラケットを叩きつけ壊した。
第6ゲーム:
2度目の警告を受け、ペナルティーとして1ポイントを失ったかたちで始まった。
セリーナは納得できず、主審に「セリーナは不正を行っていない」と会場にアナウンスするように要求。「私は不正を行ったことはない」「生まれてきた娘に悪い手本になるようなことを私がするわけがない」と主審に謝罪を求めた。
第8ゲーム:
「嘘つき,泥棒(?)」といった主審への暴言で、セリーナは3度目の警告を受け、ペナルティーとして第8ゲームを失った。
第9ゲームのあと、セリーナが「こういうことが前にもあったわ。これはフェアじゃない。
男子選手が私と同じことを言っても処罰されないのに、私がオンナだからすべてを奪おうというの」と主審に涙の抗議。セリーナは泣き崩れた。
<セリーナの苛立ち>
結婚して出産から1年。復帰してから初めての優勝を飾りたいという気負いが当然あっただろう。セリーナにとっては、大坂選手に勝っていれば、マーガレット・スミス・コートの4大大会優勝24回に並ぶという特別な一戦でもあった。
この試合でもウィナー(決定打)の数は21本で、大坂の16本を上回り、一撃で仕留めるパワーも健在だった。
今回の試合では、最後まで冷静さを取り戻せず、自滅してしまったセリーナだが、
大坂にとって、今後も強敵であることは変わらない。
試合後は抱擁で大坂を称えはしたが、それまでの女王らしからぬ一連の振る舞いは、誰の目にも余るものがあった。
<コーチング論争>
試合中のコーチングは、21歳以下の大会や4大大会以外のツアーでは認められており、4大大会でも認めようという議論が続いている。
テニスは、個人同士の闘いとされるが、孤独な闘いは、時に厳しすぎる感がある。
私は、試合中のコーチングは認められた方がいいように思う。また「違法コーチング」を公平かつ厳格にとるなら、
「コーチは会場外に入れない」等、徹底策をとった方が良いだろう。
<大坂なおみ選手の気持ち>
「子供の頃から決勝でセリーナと戦うことを夢見てきた。でも負けるような夢は見ていない。」
そう語っていた大坂選手は、日本選手初の四大大会制覇の偉業を成し遂げると、憧れのセリーナから抱きしめられ祝福された。
やがて、涙があふれてきたが、この涙は複雑に色々な感情が入り交じってのものだったに違いない。
(憧れていたセリーナが、取り乱してた姿を見せたのが、悲しかったとか・・・、緊張が解けて、色々な思いが一度にあふれだしたように見えた。)
しばらくして、母親やコーチが見守る客席に行き、抱き合った。
コートサイドのベンチに戻ると、しばらく頭からタオルを被って、何を思っていたのだろうか。
表彰式が始まると、セリーナ出産後初の全米制覇を期待していた客席からブーイングが起こった。
大坂の目から涙がこぼれ落ちた。
偉業達成の感想を問われた優勝インタビューでも涙をこぼし、異例の言葉を口にした。
「ちょっと質問じゃないことを語ります。みんな彼女(セリーナ)を応援していたのを知っている。こんな終わり方ですみません。ただ試合をを見てくれてありがとうございます。本当にありがとう。」
そして、セリーナにお辞儀をして「プレーしてくれてありがとう」。
大坂選手、おめでとう!!
そういえば、関係ないが、「グランドスラム」=「4大大会」だと勘違いしているひとを見かける。「グランドスラム」=「4大大会全てで優勝」だよね。
(2018.09.09)